セーレン 継承繊維事業は初年度から黒字
2025年09月11日 (木曜日)
セーレンの川田達男会長は10日、東京都内で会見し、継承するユニチカ繊維事業(岡崎事業所)の方向性を示した。設備の維持・更新を含めた構造改革や新規事業投資、不採算分野の撤退といった施策を進め、「赤字を出さない」体質を作る。初年度となる2027年3月期から利益確保を目指す。
川田会長は、事業継承について、岡崎事業所(愛知県岡崎市)の立地・設備・技術力・人材力をはじめとする資源の有効活用によるセーレングループの成長などが目的と説明した。その上で、「約500人の雇用の維持が重要。責任を持って対応する」と強調した。
継承する事業の規模は約500億円だが、不採算分野も多く、「毎年11億円の赤字だったと聞く。不採算分野は撤退してしっかりと利益を出す」とした。このため事業規模を当面は200億~300億円に絞り込み、ポリエステル重合とスパンボンド不織布、産業繊維、高強力繊維などを軸に展開する。
構造改革の一環として実施する設備維持・更新、撤去や生産の自動化には、100億円の投資を計画している。そのほか、車輌資材や炭素繊維、建設資材、半導体などの成長分野への新規投資として3年間で100億~120億円を充てる。グループ全体では3年で300億円を見込む。
事業については、現在は糸やわた、不織布などの基材として販売するケースが中心のため付加価値が取れていないと指摘する。事業承継後は、実際に使用される製品に近い形での販売を増やす。自動車関連企業に近い立地も生かし、車両関係のビジネスも強化する。
不採算撤退に伴い、設備スペースが現在の50~60%程度となる見込みで、空いたスペースを新規事業などで積極活用する。また、同事業所は敷地面積が約32万平方㍍と広大で、「流通拠点としての活用」も検討する。人員については、26年度から新卒採用をかける方針だ。