インテキ上海25秋冬レビュー(後)

2025年09月11日 (木曜日)

「T2T」などサステに焦点

 今回展もサステイナビリティーに焦点を当てた出展が目立った。特に、工場で発生する端材や残糸・残反を再利用する「繊維to繊維」(T2T)リサイクルの打ち出しが目立った。

 地場合繊メーカーの恒申(ヘンセン)グループと、長繊維生地の製造販売を手掛ける東レグループの東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)は2日、同展会場でナイロンのT2Tリサイクルに関する戦略的提携の覚書を締結した。TSDの石井慎二副総経理は、両社でクローズド・ループ・リサイクルを実現し、「繊維品の温室効果ガス削減に貢献していく」と話した。恒申グループの梅震副総裁は「これを機に両者の関係はビジネスパートナーから“エコ同盟”に昇格する」とした。

 安徽新登利環境保護科学技術(シンダンリー)は、ケミカルリサイクルによるポリエステルのT2T技術を訴求した。同社は2023年設立の新興メーカーで、「BHET法」を採用。年間8万㌧のリサイクルポリエステルを生産する。

 江蘇省佩浦科技集団(ペイプー)は、T2Tなどで生産するリサイクルポリエステルをアピール。同社も20年創業の新興メーカーで、回収ペットボトルと使用済み衣類などを原料とし、チップから一貫でリサイクルポリエステルを生産している。

 日系企業もサステ素材を訴求した。島田商事は、「サステナブルとテクニカル」をテーマに、廃棄衣料や工場の残反・裁断くずを有効活用した織りテープを打ち出した。

 伊藤忠商事は、ケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」の認知度向上を図った。カジュアルからスポーツ、ユニフォーム向けまで幅広い素材を取りそろえていることや、消費者からの使用済み衣類の回収システムを紹介した。

 バイオスタートアップ企業のスパイバーは、構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を使用した生地を、レディースブランド「JNBY」を展開する江南布衣(ジャンナンブーイー)のブースに出展した。同素材は、江南布衣のレディース「JNBY」と、メンズ「速写」(クロクウィン)の25秋冬アイテムに採用された。関山和秀社長は、「これを機に中国販売を強化していく」と話した。

 (おわり、上海支局)