帝人フロンティア・短繊維 輸入わたで量的拡大

2025年09月12日 (金曜日)

 帝人フロンティアの産業資材部門短繊維素材本部は、商社機能を生かして輸入わたによる販売数量の拡大に取り組む。

 また、堅調な販売が続くポリエステルショートカットファイバー(短カットわた)は、生産能力増強の効果を出しながら、一段の販売量拡大を狙う。

 ポリエステル短繊維や不織布を主力とする短繊維素材本部の2025年度上半期(4~9月)商況は、前年同期比で増収基調となっているもよう。ポリエステル短繊維はショートカットファイバーの堅調が続く。需要がやや一服していた米国市場向けも、流通在庫の減少で回復した。

 ポリエステル短繊維は車両用途が例年並みで推移しており、米国の関税政策の影響も今のところ顕在化していない。一方、生活資材や寝装用途は勢いがない。紡績用途も学生服向けの需要が一服した。

 今後に関して堀田敏哉短繊維素材本部長は「商社機能を生かし、外部調達した輸入わたの活用による量的拡大を進める」と話す。これまで高付加価値品への特化を進めたことで、収益性が向上した。しかし、販売数量の減少が続いており、現状では今後の業容拡大が難しいと判断。このため輸入わたで紡績、寝装、生活資材、車両の各用途で汎用(はんよう)ゾーンへの提案を強化し、シェア回復を狙う。

 一方、高付加価値品に関しては「メーカー機能を一段と強める」考えだ。ショートカットファイバーも生産拠点であるタイのテイジン・ポリエステル〈タイランド〉で生産能力の増強を進めており、下半期(25年10月~26年3月)から約10%の増産となる。この効果で販売量・売り上げ規模の拡大を目指す。その上で次の能力増強に向けた検討も進める。

 また、不織布は今期から揖斐川事業所(岐阜県神戸町)に生産を集約した縦型不織布「V―Lap」で車両用途を中心に新規開拓を進める。特にカーシートのワディング材などでウレタン代替として需要開拓に取り組む。