インドネシア東洋紡グループ 現地で高付加価値素材開発
2025年09月12日 (金曜日)
インドネシアの東洋紡グループが現地で付加価値の高い生地開発に力を入れている。差別化した生地をグループの縫製工場で製品にまで一貫で仕上げられることを強みに、新たな取引先を開拓する。
インドネシアの東洋紡グループは、生地や製品の販売を担う東洋紡インドネシア(TID)、生地の編み立て・染色加工を手掛ける東洋紡マニュファクチャリング・インドネシア(TMI)、縫製工場のシンコウ・トウヨウボウ・ガーメント(STG)の3社で構成する。
TMIでは最近、介護・ヘルスケア施設スタッフ制服を想定したユニフォーム用ニット地を開発した。縮率の管理を厳密に行った生地で、工業洗濯にも対応する機能を強みにこれから売り先を広げる。TMIはスポーツウエア、スクールスポーツ、車両用ニット地が主力。スポーツ分野が苦戦する中、ユニフォーム向けで拡大を目指す。
TMIとSTGで作るビジネスニットシャツ「Zシャツ」では、綿混製品を開発した。既に綿30%混と50%混の2タイプを開発済み。合繊が持つ素材の強みに良質な綿花の風合いや吸湿性といった天然の良さを付与。さらに自社のシルケット加工で光沢を付け、見た目の美しさも付与することで、これまでよりも付加価値の高いシャツ地として提案する。
中東向けが好調
東洋紡インドネシアの繊維事業の主力の一つ、中東民族衣装向け生地の販売が好調だ。商流は、同社がインドネシア国内で調達した生地を東洋紡せんいに卸した後、日本の庄川工場(富山県射水市)で加工し最終消費地の中東へと輸出する形態をとる。
中東の民族衣装用生地の市況が明るいことや“東洋紡ブランド”が中東で浸透していることもあって需要の高止まりが続く。これまでマレーシア、タイ、インドネシアの3カ国で生産していた。だが、タイでの生産コスト上昇を受け一部をインドネシアでの生産に切り替えたことも好調要因になった。
今後も中東での需要は底堅いとみて、インドネシアで中東向けの高付加価値生地も開発できるような体制を模索する。
TIDのもう一つの繊維セグメントであるニット地の販売は、日系縫製工場向けに前年に比べ横ばいの受注量で推移する。これまで新規開拓が進んでいた現地アパレルメーカーへの販売は、ここにきてやや停滞しているもよう。現地のアパレル消費に勢いがないことが影響しているとみられる。