繊維ニュース

ユニチカと大阪公立大/ナノ金属繊維の新特性確認/温度上昇時も導電性維持

2025年09月12日 (金曜日)

 ユニチカと大阪公立大学大学院工学研究科の堀邊英夫教授はこのほど、導電性ナノワイヤー(ナノスケールの金属繊維)と樹脂を組み合わせた複合材料について、温度上昇によって体積などが変化しても導電率が影響を受けにくいという特性を新たに確認した。モーターやパワーデバイスの周辺部材、電池電極などへの応用が期待される。

 一般的に導電性フィラーを樹脂に充填(じゅうてん)すると常温では導電性を示すが、温度上昇に伴って電気抵抗が急速に上昇し、電流が流れなくなる現象(PTC特性)が生じる。堀邊教授はPTC特性に着目し、樹脂中の導電性フィラーの分散状態や転移温度と電気抵抗の関係を解析。永久ヒューズなどに応用可能な新規材料の開発を進めている。

 今回の両者による共同研究では、ユニチカが開発したニッケルによる導電性ナノワイヤーを樹脂に充填して解析を行った。その結果、温度変化による体積膨張が起きても導電性ナノワイヤーはフィラー間のネットワークが切断されにくく、高温下でも安定した送電性が維持されるという特性を確認した。

 これは金属粒子や炭素粒子、カーボンナノチューブなど他の導電性フィラーでは得られなかった知見となる。

 今回の結果は、導電性ナノワイヤーを充填した複合材は、温度変化や体積変化を繰り返すような環境でも安定的に導電性を維持できることを示唆する。このため使用温度域が広いモーターやパワーデバイスの周辺部材、充放電時に体積収縮が生じる電池電極の劣化抑制などへの応用が期待できる。

 共同研究の結果は、17~19日まで幕張メッセで開催されるエレクトロニクス開発・実装展示会「第4回ネプコンジャパン(秋)」で披露する。