LIVING-BIZ vol.122(3)/日本ふとん協会/まくら
2025年09月17日 (水曜日)
〈日本ふとん協会/国産ふとんを次世代へ/70周年で記念式典〉
日本ふとん協会(JFA)は5日、ブルガリホテル東京で創立70周年記念式典を開いた。台風の影響で来られなかった人もいたが、会員企業34社中23社と関連企業から62人が参加。歴史を振り返るとともに、各委員会が活動報告するなど、活気あふれる集いとなった。
米山元章理事長は先人の活躍に敬意を表しながら、「国産ふとんが置かれた環境は厳しいが、日本の気候風土や生活様式をよく知り、細かいニーズに応えられるのは日本の工場。『JAPAN FUTON』ブランドや海外市場開拓などを通じ次世代へつないでいく」とあいさつした。
ブランディング委員会は、JFAのアルファベットで富士山を表現した協会の新シンボルマークを冠したJAPAN FUTONの認知度向上に力を入れる。同マークは、飲料や菓子などのパッケージデザインから企業のロゴまで多数手掛けるアートディレクターの石川竜太氏が担当した。
公式オンラインショップの開設、SNSを通じたQ&Aや短尺動画の発信、日本ブラインドサッカー協会の競争力向上サポーターなど、認知度向上へ多角的に取り組む。
価値創造委員会は主要活動の中で優先順位の高いものから推進。寝具機械メーカーの減少で困難になってきた修理や部品調達のマッチングサポート、寝具のリサイクル、能登半島地震など被災者への寝具提供、海外販路開拓支援を軸に進める。
式典では、JFAの評議員を12年務めた丸三綿業の富澤順顧問に感謝状が贈呈された。
《初の海外展も盛況》
70周年を機に出展した8月の「インターテキスタイル上海2025ホームテキスタイル」では、初の海外展ながら一定の手応えを得た。ふとん地製造卸の蔭山(大阪市中央区)との共同出展で、「JAPAN FUTON」ブランドを訴求。中国本土をはじめ、韓国、台湾、インド、欧州などのバイヤーや寝具業界関係者らが多数来場し、盛況だった。
特に羽毛ふとん、羊毛ふとん、枕への注目度が高く、「安心・安全、品質へのこだわりといった日本のモノ作りの強みが評価されていることを改めて実感した」と言う。日本伝統の和ふとんの作り方を紹介する動画にも関心が集まり、日本独自の寝具文化や製造技術を伝える機会にもなった。
今後も継続して、日本の良質な眠り文化を世界へ発信していく。
〈まくら/「まくら白書2025」発刊/4人に1人が枕難民と自覚〉
枕製造小売りのまくら(千葉県柏市)が8月下旬に、「まくら白書2025」を発刊した。枕に関心のある約4万人の声を集積・分析し、枕市場の構造的課題と、その巨大なビジネスチャンスをデータで解明している。
同調査では、62・3%の人が現在の枕に「不満」と回答。「首凝り」「肩凝り」「疲れが取れない」という日中のパフォーマンスに直結する身体的悩みが上位を占めた。実に4人に1人(26・8%)が「自らを“枕難民”と認識している」ことも分かった。
次世代の枕市場戦略のキーワード三つも導き出している。
一つが「横向き寝対応」。主な寝姿勢が「横向き」と答えた人は53・8%に上り、女性では58・3%に達する。横向き寝特有の課題である「肩の高さ」を吸収し、頭から首、背骨に掛けてラインをまっすぐ保つ構造設計は、もはやニッチではなく、スタンダードになり得ると分析した。
二つ目のキーワードが「パーソナライズ」。枕の素材選びは年代で大きく異なり、若者は「わた」など柔らかい素材、30代以降は硬めで機能性の高い素材を好む傾向にある。60代以上では64・2%が「高さ調整機能」を必要としており、加齢に伴う身体変化への対応を重視する。
三つ目が「ウエルネス」だ。ストレートネックに悩む人は48・2%と半数近く、首のしわが気になる女性は43・8%に上り、こうした悩みに応える枕が増えてきた。快適な眠りを提供するだけでなく、日中の健康課題に応えるウエルネスツールへと進化していることがうかがえる。
肩凝りやストレートネックに悩む人は、20~50代の働く世代に集中している点も強調。日本人の約4割が睡眠に何らかの不満を抱えている。従業員の睡眠の質は企業全体の生産性に直結するとし、健康経営への貢献という新たな価値も追求する。





