東レ 不織布・人工皮革事業 新商品を開発・量産へ

2025年09月18日 (木曜日)

 東レの不織布・人工皮革事業部門は、新商品の開発と量産に向けた取り組みに力を入れる。今年発表した新タイプのオレフィン系スパンボンド不織布(SB)「アートレイ」も量産体制の確立を進めている。また、韓国子会社で生産するメタ系アラミド繊維「アラウィン」を活用した不織布開発にも取り組む。

 同部門の取り扱い商品は従来の不織布と人工皮革に加えて、2025年度(26年3月期)からエアフィルター製品とマイクロファイバークリーニングクロス「トレシー」が加わった。赤江宏一不織布・人工皮革事業部門長は上半期(4~9月)の商況について「前年度からは回復しているが、計画に対して、まだ十分ではない」と話す。

 ポリエステルSB「アクスター」は、北米向けフィルター用途が米国の関税政策の影響を受け、不安定な状態が続く。一方、国内向けは堅調。ハウスラップなどフィルター以外の用途も順調に推移しているもようだ。

 全社プロジェクトで構造改善を実施しているポリプロピレンSBは、韓国子会社のトーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア(TAK)を中心に生産規模適正化を図ったことで収益改善が進んだ。主力の紙おむつ用途は、海外の出生率が若干改善し、インドやインドネシアの需要拡大が続いていることで需給ギャップも縮小傾向にある。

 こうした中、同部門は新規商材の開発と提案に力を入れる。今年発表したアートレイは滋賀事業場(大津市)で量産に向けた準備を進めており、産業用やフィルター、包材といった用途に向けた開発と提案が進む。26年度には売上高10億円を計画する。

 また、ポリフェニレンファルサイド(PPS)繊維やフッ素繊維、アラミド繊維など高性能繊維による不織布の拡大にも力を入れる。特にメタ系アラミド繊維はTAKで生産するアラウィンを活用し、湿式不織布も含めた開発に取り組む。27年度には試験機も導入する計画だ。アラウィンは乾式紡糸のため、湿式不織布にした際に強度が高い特性を生かし、用途開拓を進める。

 一方、人工皮革「ウルトラスエード」は今期も堅調に推移している。ただ、これまで販売をリードしていた自動車用途は一服感が強まった。このためインテリアやコンシューマーエレクトロニクスなど全用途への提案を改めて強化し、需要を掘り起こす。また「エクセーヌ」ブランドで販売する工業用は、工業用トレシーとの連携でデータセンターや半導体関連用途などの開拓に取り組む。