ユニフォーム業界の風を読む(1)/クラボウ 繊維事業部ユニフォーム部長兼東京ユニフォーム部長 絹本良和氏

2025年09月25日 (木曜日)

開発に現場の声生かす

 猛暑の影響でワーキング分野を中心に追い風が吹くユニフォーム業界。一方で、学生服業界では在庫調整が続き、サービス業や飲食業では深刻な人手不足に直面している。こうした環境の変化を踏まえ、素材メーカー・商社の担当者に現状と今後の展望を聞いた。

――上半期(4~9月)の商況は。

 ユニフォーム地の販売量は、前年を上回る見込みです。アパレルメーカーや代理店との連携強化により別注案件が増加し、綿・ナイロン混紡素材などが新商品に採用され、受注を押し上げました。

 アパレルメーカーの在庫調整は一段落したものの、価格改定の影響で合繊素材の採用が進み、ユニフォームの支給枚数も減少傾向にあります。そのため全体の回復は想定を下回りました。

 高通気・ストレッチ「ジェットエアー」や難燃「ブレバノ」など差別化素材の需要は堅調で、増産体制で対応しています。ブレバノはジェットエアーや高制電「エレアース」との複合品も好評です。

 生産拠点のタイ・クラボウでは、糸や生機の備蓄を強化し、安定供給に努めています。

――猛暑から暑熱リスク・体調管理システム「スマートフィット」への関心も高まっています。

 採用企業数と使用者数が前年の2倍に拡大しました。大手企業での導入実績を背景に、製造業を中心に採用が広がっています。

――7月には、ワークウエア専門の電子商取引(EC)サイト「ニューライフワーカーズ」を開設しました。

 当社の生地を使ったユニフォームメーカーのカタログ定番品を取り扱い、既に海外からの受注も獲得するなど好調な滑り出しです。今後は、もっと販売を広げたい。差別化生地を活用したオリジナルブランド「GOROKU」(ゴロク)の販売も本格化します。

――下半期の取り組みは。

 最終ユーザーのニーズに即した素材の開発・供給をさらに強化します。コスト上昇を受けた価格転嫁を進めつつ、綿素材の価値を訴求し、納得感ある提案を継続していきます。

 徳島工場(徳島県阿南市)を活用し、QR対応や品質向上にも取り組みます。さらに生機の備蓄も大幅に増やし、納期対応力を高めます。

 ウエアラブル分野では、スマートフィットの建設業界への導入拡大を目指します。より扱いやすい腕時計型の熱中症対策バンド「I―BOW」(アイボウ)の販売も開始しました。

 今後はスマートフィットチームとの連携を一層密にし、現場の声を反映した素材開発に力を入れていきます。