独自戦略で勝つ~中国レディースに聞く②/ICCFグループ 葉寿増董事長(中)
2025年09月25日 (木曜日)
ライブコマースを積極化
――「ICCFガーデン」の客層は、百貨店とは異なりますか。
いいえ。やはり地元の顧客が中心です。観光客も来店されますが、庭園の写真撮影が主な目的で、購入する方は多くありません。
ICCFガーデンでは、百貨店の店舗よりも多くの商品が購入される傾向があります。レディースのコーナーは300平方㍍、メンズは200平方㍍以上で、空間的なゆとりがあり、百貨店よりも充実した商品を見ることができます。歴史的建造物の“体験”と相まって、ブランドへの理解を一層深めることができると思います。
当初、このような新しい形態の店舗が受け入れられるには、2、3年必要だと考えていました。しかし、昨年オープンした途端に大きな反響がありました。SNSの小紅書(レッド)での情報拡散が大きかったです。
――杭州や成都などでも展開していくそうですね。
成都と杭州の店舗はすでに着工しています。杭州は、(著名な観光地の)西湖のほとりの南山路という大変良い立地です。こちらも歴史的建造物を活用します。今後、中国国内の主要10都市で展開していきたいです。
――ECについて伺います。「全プラットフォーム同時ライブ配信」を今年5月に行い、話題になりました。
われわれの新作発表会を複数のプラットフォームで同時に実施しました。
ブランドは通常、ファッションショーで新作を発表します。われわれも今年3月からパリ・ファッションウィークに参加するようになりましたが、パリでオフラインのショーを行い、上海でも同じような発表を行うのは重複です。そこでグローバル市場への発信は、世界的な影響力を持つパリでのオフラインショーで実施し、当社にとって最も重要な中国市場に対しては、オンラインで新作を発表するという形を選びました。
今回の新作発表では、単一のプラットフォームではなく、協力してくれる複数のプラットフォームを通じて一斉に発信しました。結果、400万人もの人々が視聴しました。
――ライブコマースも行ったのですか。
配信時間は3時間で、一部はショー形式での情報発信、一部はライブコマースという構成でした。このライブコマースのGMV(流通取引総額)は、約1500万元でした。
ライブコマースの主な役割は、百貨店などの店舗の既存顧客や、われわれの店舗がない小規模都市の顧客に、自宅などでスマホで手軽に安心して注文できる機会を提供することです。
――(ライブコマースの配信プラットフォームの)抖音(ドウイン)の配信をたまたま見かけて購入した新規顧客もいましたか。
はい。それもライブ配信の魅力ですね。われわれのコアなアクティブ顧客層は20万~30万人(VIP顧客全体は70万~80万人)ですが、ライブ配信を行うとトラフィックは非常に大きくなります。もちろん多くはショーを少し見て離脱しますが、中には購入してくれる方もいます。
――ECへの取り組み方が、わずか数年で大きく変わりましたね。
新型コロナウイルス禍以前のわれわれはECのノウハウがほとんどなく、伝統的なオフライン主体の企業でした。しかしコロナ禍を経て、オンラインとオフラインの両方を使いこなせるようになりました。
さらに5月のライブ配信を通じて、いろいろ面白いことができることに気が付きました。当社は多くのコンテンツを持っています。例えば、紙媒体の雑誌『ICU』を発行していますが、その内容を基にオンラインで顧客とコミュニケーションを取ることができます。さまざまなブランディングのためのアプローチが可能です。
――中国のECは、「天猫」(Tモール)などの「棚(ECサイトの商品ページ)型EC」、小紅書や抖音に代表される「コンテンツEC」、それからKOLや店員の個人の微信(ウィーチャット)などに紐づいた顧客に販売する「私域」(プライベートトラフィック)の三つに分類できます。アイシクルはどれを手掛けていますか。
全てです。売り上げ規模はやはり棚型ECが最大です。小紅書と抖音のコンテンツECも好調に推移しています。私域は小紅書とほぼ同規模です。私域の利点は、ターゲットの顧客層に正確にアプローチできることですね。
――私域は、店舗の販売員が微信でつながっている顧客に販売するケースが多いのですか。
そうです。ただし、われわれはこれをECとは別に集計しています。例えば、上海の久光百貨店の店舗スタッフが顧客に連絡を取って販売した場合は、久光百貨店の店舗の実績として計上しています。
――葉さんは今月5日、イタリアの毛織物メーカー、REDA(レダ)のエルコレ・ボット・ポアーラCEOと一緒にライブ配信されましたね。
ポアーラCEOが上海の生地展「インターテキスタイル上海」のために来中したタイミングで行いました。
この配信では、レダの生地を使った商品を重点的に紹介しました。例えば「洗濯機で洗えるウールシリーズ」などです。両社の協業について顧客に深く理解していただきました。この回のGMVは700万元超でした。返品がどの程度あるかはまだ分かりませんが、良い数字だと思います。





