特集 介護ウエア(2)/進化するデザインと機能/トンボ/シーユーピー/セロリー/明石スクールユニフォームカンパニー

2025年09月29日 (月曜日)

ユニフォームメーカーが介護現場のことを調べ、研究し尽くして開発した商品を紹介する

〈トンボ 執行役員 販売統括本部 ヘルスケア本部 本部長 高橋 圭治 氏/入院セット向け患者着が伸長〉

 メディカル、ケア向けユニフォームを取り扱うヘルスケア本部の2025年6月期売上高は前期比12・6%増の29億2400万円となりました。大きくけん引したのが入院セット向けの患者着です。3年ほど前から販売が好調で、「キラク」ブランド、「やわら着」シリーズの甚平タイプのウエアが伸びています。

 今期は引き続き入院セット向け患者着を伸ばします。また、白衣の販売にも力を入れます。海外生産の活用などによって価格を抑制したほか、備蓄の充実やアフターフォロー体制も整備し、PRしていきます。

 BtoCも強化します。今月に、心身の疲労回復をサポートするリカバリーウエアを発売しました。自社通販サイトで販売するほか、今後は販路として百貨店や通信販売などにアプローチをかけていきます。

《疲労回復促すウエア》

 今月2日に「めぐるきらくリカバリーウエア」を発売した。遠赤外線効果を持つ繊維を採用した生地を採用したウエアで、血行を促進して疲労回復を促す効果が期待できる。寝返り時や長時間着用してもストレスがかかりにくい設計を採用。長年、学生服やユニフォームで培った縫製技術を生かし、毎日の洗濯や着用に耐える品質を実現した。

 長袖トップスとロングパンツの上下セットで価格は1万4300円。SS~LL展開で、グレーモク、コーラルピンク、ネービーの3色をそろえる。

〈シーユーピー 営業部開発チームリーダー 重 知可子 氏/プロフィーリング30周年〉

 介護向けユニフォームの「プロフィーリング」が今年で30周年を迎えます。改めて認知度の向上を図りたいと思います。

 プロフィーリングは、私服を着用するのが一般的でユニフォームの概念がなかった介護業界に、パステルカラーの介護作業専門ジャージスタイルを提案した介護ユニフォームの先駆者的存在です。

 このほど、30周年を記念した特設サイトを立ち上げました。併せて、新型コロナウイルス禍の影響で刊行を止めていた広報誌「あたたかいご」も特装版として復刊しました。

 ブランドの魅力や歴史、着用者の声や施設を紹介するユーザーインタビューを掲載しています。販売代理店と介護施設をつなぐ営業ツールになればという思いを込めました。

 派生ブランドの、上質で高級感を演出する「アイナ」や傘のロゴマークが有名な「アーニー アーノルドパーマー」も拡大させます。

《新定番パンツ拡販》

 「プロフィーリング」から打ち出した「真・スタンダードチノパン」は、「もっと働きやすいパンツ」を目指して、高い伸縮性を追求した。足をすっきり見せたい人向けの「ノータック」と、体形をカバーしたい人向けの「ワンタック」の2種のシルエットを用意する。前かがみになった時に背中が出ないように、股上を深く設計した。男女兼用で、3Sから6Lを展開する。

〈セロリー 営業部 ケアウェア課 課長 高橋 和基 氏/機能的なパンツに評価〉

 介護施設でパンツの採用が消極的だった中、機能性を高めたパンツの「動パン」を積極的に訴求してきました。これが結果に結びついてきています。当社は介護向けブランド、「アイフォリー」を展開していますが、“アイフォリー=動パン”というイメージが付いてきています。最近はパンツからトップスへの採用につながるケースも増えてきました。

 今後はトップス企画に力を入れます。知名度を付け、選ばれるような商品作りをしていきたい。来年には機能面にこだわった新商品を投入する予定です。

 販路開拓も強化します。東京など都心が販路の中心だった中で、福岡支店(福岡市)に担当を置き、昨年から九州エリアでの開拓を進めています。

 当社ではユニフォームの在庫が確認できるウェブ管理システムの提供も進めています。ユニフォームの提案時にPRしており、規模の大きい介護施設での採用が徐々に増えています。

《3タイプの動パン》

 動パンは「0(ゼロ)」「プレミアム」「U」の3タイプをそろえる。中でもゼロが売れ筋。薄さと軽量性、吸汗速乾、ストレッチなどの機能性の高さで好評だ。

 プレミアムは抗ウイルスなどの機能を持つハイブリッド触媒、「ティオティオプレミアム」を付与したタイプ。Uはニット素材を採用する。ファスナーレスの総ゴム仕様で、ジャージ感覚で着用できる快適なはき心地が特徴となる。

〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部プランニング部部長 チーフデザイナ― 伊藤 良太 氏/靴やパンツの開発加速〉

 介護メディカルの2025年12月期売上高は、前期比横ばいになりそうです。前期(24年12月期)は2桁%増収を達成しましたので、今期は、売上高の維持に注力しました。

 介護向けでは、販売価格に対する施設の要求が厳しい。ユニフォームがスタッフのモチベーション向上やリクルートに寄与する点を説明し、導入する意義を伝えたいです。

 スポーツブランドならではの機能性とデザイン性が融合する「ルコックスポルティフ」と、ナチュラルカラーを取り入れた柔らかなデザインが特徴の「ロハピ」の2本柱を拡販します。

 靴やパンツの開発を進め、トータルコーディネートできる商品をそろえます。売れ筋となったルコックスポルティフのシューズに続く、新たなシューズを来期発表する予定です。ユーザーに伝わりやすい性能を備えたパンツの開発も進めています。気候変動に対応した商品も打ち出します。

《デュアルファイン好評》

 「ルコックスポルティフ」の「デュアルファイン」シリーズが、大手顧客の受注を獲得するなど売れ筋になっている。生地にはポリエステル撥水(はっすい)糸を採用した「デュアルファイン」を採用。撥水層を持つ生地構造により、汗をかいても汗染みが目立ちにくく、蒸れにくい。高伸縮性、防透性、紫外線防止性、耐工業洗濯性も備える。