繊維ニュース

帝人フロンティア 収益性向上に力点

2025年09月30日 (火曜日)

 帝人フロンティアは、収益性の向上に継続して取り組む。現中期経営計画で志向した事業利益110億円(帝人の繊維・製品セグメントの数字)の安定確保は達成できるとし、来期(2027年3月)から始まる次期中計では150億円が視野に入る。次期中計では成長施策の一つとしてM&A(企業の合併・買収)も検討する。

 同社は、今期が最終の中期経営計画を推進している。事業環境について平田恭成社長は「今期も市場はそれほど悪くないと捉えている」と話す。衣料繊維分野は異常な暑さが懸念材料とし、産業資材は自動車関連の回復が不安要素としつつ、「当社は前年の調子がキープできている」とした。

 26年3月期の事業利益は、前年を上回る180億円の見通し。平田社長は「180億円は高い数字であり、実力通りとはまだ言えない」した上で、「現中計では事業利益110億円の安定確保を目標の一つにした。これはクリアできたので、次のステップは150億円ぐらいになる」との認識を示した。

 次期中計の方向性は現中計と大きく変わらないとし、衣料繊維ではASEAN地域での生産強化を図るほか、繊維to繊維リサイクルの下地を一つ一つ構築する。産業資材はモビリティー事業の安定化を図り、生活製品は電子商取引(EC)ビジネスを含め強化する。

 具体的な案件はないが、衣料繊維と産業資材ともにM&Aを検討課題とする。衣料繊維では「OEMにプラスの味付けを加えられるようなM&A」を考えていきたいとし、産業資材では「加工技術の強化などが目的になる。ニッチでも強い企業と組めれば」とした。