カワボウ/国内紡績需要喚起し守る/独自技術高め、事業拡大狙う
2025年10月01日 (水曜日)
不動産賃貸業のカワボウ(岐阜市)は12月末、合繊糸製造のユニチカスピニング(長崎県松浦市)の事業を承継する。約70人の従業員と1万8千錘の紡機を保有する工場、建物を引き受ける。譲受金額は非公表だが、国内の紡績需要を喚起しながら生産拠点を守るとともに、新たな事業領域の拡大を狙う。
承継後はカワボウのグループ企業で、紡績糸・織物製造販売のカワボウ繊維(岐阜市)が主体となり長崎の工場を運営する。承継後1~2年の間はユニチカスピニングの販売先向けに原糸を安定供給できるよう量産を維持する。
その後、カワボウ繊維が持つ梳毛紡績、撚糸、長繊維加工の独自技術を生かし、合繊糸や複合糸を含めた生産ならびに開発の能力を向上させる考え。カワボウ繊維武芸川工場(岐阜県関市)の従業員の相互研修や技術面での交流を深め、製造・開発技術の向上や生産領域の拡充を目指す。
カワボウ繊維の伊東健二取締役は「国内の紡績業を取り巻く環境は厳しいが、独自の製造技術や開発力を強みにする。製造拠点を残しながら活用することは大きな意義を持つ」と話す。カワボウ繊維は“自家紡績”と称する独自の紡績技術を持ち、その優位性を糸や織物を中心とした生地の販売に生かす。
カワボウ繊維はアパレルやユニフォーム向けを主体に糸や生地を販売している。これを機にオフィス向けなど新たなユニフォームと産業資材向けの販売を伸ばしたいとする。天然繊維を中心とした紡績糸を軸に販売していたが、合繊糸や複合糸といった新たな商材の開発・販売が可能となる。
ユニチカスピニングは月産約100㌧の生産能力を持つ。ユニフォームやアパレル、資材向けの紡績糸を受託してきた。合繊糸以外にもポリビニルアルコール(PVA)・綿混糸やポリエステル・ウール混糸の製造も手掛ける。今後は「産業資材など非アパレル向けの販売を進めたい。糸だけでなく、生地販売にも優位性を生かす」(伊東取締役)とした。





