自動化への注目高まる/ワインダーメーカー
2025年10月02日 (木曜日)
ワインダーメーカーは日本での更新需要で、各社とも年間100錘ほどの販売を計画している。近年は巻き直しの外注工場の廃業への対応として導入する動きも出ていたが、足元では人手不足への対応や開発強化などからの更新も増えている。(星野公清)
日本で稼働する繊維機械には40~50年前に導入された機械も多く、潜在的な更新需要があるとみられている。ワインダーもその一つで、将来を見据えた企業が、市場環境を見ながら徐々に更新を進める可能性がある。
足元では人手不足への対応として、自動で巻き上がったパッケージを取り上げて次の巻き取りを開始するオートドッファー(自動玉揚げ)機能への注目が高い。また、今の機種は古い機械に比べると巻き取り速度が約2倍に高まっているので、古い機械を複数台廃して新台と入れ替え、全体の錘数を減らして作業者の負担軽減につなげる動きも見られる。
差別化や開発を重視する流れも更新需要につながっており、繊細な糸や巻き取りにくい糸の扱いが増えていること、試作で高価な糸を無駄なく使うために新しい機械を検討するケースも増えている。
TMT神津は今期(2026年3月期)、化合繊用リワインダー「ワインディングマスター」の販売が100錘を超える見通し。オートドッファー機能への注目が高く、古い機械からの更新によって生産性を向上させ、省人化につなげる動きも出ている。
通常のワインダーは1台が複数錘になるが、ワインディングマスターは1台=1錘から導入できる点も好評を得る。近年は試験的に導入した企業からのリピートも出てきており、販売先もさまざまな産地に広がっている。
長繊維用だが、天然繊維の産地で化合繊使いが増えていることも導入が進んでいる背景にあるとみられる。最初は染色用のソフト巻きから導入が進んだが、近年は小割りでの導入が多い。差別化志向と開発強化が背景にあるとみられ、繊細な糸をダメージ少なく巻くことができる点が評価されると言う。
SSM社(スイス)の日本代理店を務めるワインダーワークスは、毎年100錘の販売を計画している。今年は錘数が多い大型機の受注もあり、1~9月の販売は60錘になった。生産性や自動化などが更新の動機になっており、老朽化した他社製設備からの入れ替えでの導入が進んだ。
ただ、1~9月の販売分は2月までに受注した分が多く、スイスフランに対する円安の影響も見られる。これまで日本での販売は欧州製を主力としてきたが、今後はSSMの中国工場で生産した商品の提案も進め、顧客の選択肢を広げる。
自動ワインダーで世界トップシェアを持つ村田機械は、最新機種「AIcone」(アイコン)を巻き返しやソフト巻き用にも提案している。日本の産地では特に生産性やオートドッファーへの関心が高く、今年は新たに尾州で受注し、今治での導入先も増える傾向にある。
同社の自動ワインダーは、空気を利用して結び目なく糸をつなぐマッハスプライサーのイメージが強いが、新たにノッターも開発し、自動化でより幅広い糸種に対応できる形にしている。