ごえんぼう

2025年10月03日 (金曜日)

 “包む”は奥深い。100周年を迎えた松屋銀座で開催している記念企画「Tsu・tsu・mu展 世界をやさしく繋ぐデザインの作法」でそう感じた▼包むといえば、すぐ包装が思い浮かぶ。だが、さまざまな意味が込められた伝統的な包装様式やパッケージデザインだけではない。会場には卵や果物、繭といった殻や皮で覆われた自然物から、たこ焼きや大福、衣服、本の装丁、蚊帳、ソファ、照明、浴槽、テント、建築模型まである▼包むとは対象を何かで覆うことだが、同展を主催した日本デザインコミッティーは、そこに「他者をケアしながら内側と外側を繋ぐ」意味合いを見いだした。相手を思うギフトはもちろん、衣服やふとん、建物などは人の暮らしをケアするモノと言える▼しかし包み過ぎ、内に閉じてしまうと、物理的にも心理的にも分断が生じる。いま世界はそういう状態だろう。包みをどう開くか試されている。