帝人フロンティアのタイ工繊事業/市況不安定も堅調維持/新規開拓、開発を加速

2025年10月06日 (月曜日)

 米国の関税政策などを背景にタイの自動車関連をはじめとする産業も不安定な市況が続いている。こうした中、帝人フロンティアの工業繊維事業を担うタイ子会社は比較的堅調な販売を維持した。ただ、先行きの不透明感が依然として強いことから、これまでも力を入れていた新規の取引先や需要の開拓を一段と加速させる。

 タイヤコード織物製造のテイジンFRAタイヤコード〈タイランド〉は2025年度の販売量を前年度比21%増と計画するなど積極的な営業姿勢で臨んだ。4~6月こそ需要家の在庫調整の影響で販売量を若干落としたものの、7~9月は受注が回復した。このため上半期の販売量は前年同期比10%増となった。10月以降は市況が軟化傾向にあるものの、計画達成に向けた取り組みを進める。

 課題となるのが米国の市況動向と関税政策への対応。同社は直接・間接を合わせて米国市場向けの販売比率が40%を占めるためだ。需要が減退した場合、販売価格への下げ圧力が強まる可能性がある。このため、原料調達の見直しなどを視野に入れる。その上で24年から重点的に進めている新規取引先の開拓と高付加価値品の拡販を強化する。

 シングルエンドコード製造販売のテイジンコード〈タイランド〉の25年度上半期の商況は、ベルト補強用コードの販売が低調だ。自動車、一般産業、農業機械の伝導ベルト向けが中心だが、ASEAN市場で域外からの廉価品流入が続いていることが要因。ただ、品質要求の厳しい用途は堅調に推移している。自動車向けを中心としたゴムホース補強用コードはほぼ計画通りに推移し、堅調な販売となった。

 通期でも市況に大きな変化はなく、ほぼ計画通りの数字を確保できるとみる。その上で重点課題として取引先からの旺盛な開発要求にスピーディーに対応することを挙げる。帝人フロンティアの技術部署と連携を強化し、自社の技術スタッフのスキルアップに取り組む。

 開発品の生産スペースを確保するために、既存プロセスの改善による能力向上や将来の設備増設に向けた検討も進める。