東洋紡せんい・ユニフォーム事業 収益構造の転換進む

2025年10月07日 (火曜日)

 東洋紡せんいのユニフォーム事業は、高機能素材の拡販と製品OEM体制の強化を両輪に、収益構造の転換を進めている。「売り上げ規模の拡大よりも、資本効率の改善を重視する」(山本慎太郎ユニフォーム事業部長)として、物性面で織物に近い編み地「コンフォネックス」といった差別化素材の拡販を加速させる。

 上半期(2025年4~9月)は、前期にあった大型別注の反動で減収を見込むものの、採算性の高い素材への移行が進んだ。価格改定も浸透し、収益性も改善。生産のリードタイムが織物に比べ短いニットの売り上げ比率が2~3割に高まり、計画通り増益を見通す。

 特に販売を伸ばしているのがコンフォネックスだ。元々スポーツ用途で展開してきた高機能編み地「スクラムテック」をユニフォーム用途に転用したもので、縦横50%以上の高いストレッチ性に加え、スナッグやピリングへの耐性を持つ。今期(26年3月期)は前期比1・5倍の販売量を見込む。

 一方で織物では、工業洗濯に対応するストレッチ素材「オールフレックス」が、食品工場やメディカルウエア向けで堅調に推移。こうした高機能素材がユニフォーム事業の売上高に占める割合は「4割近くにまで拡大してきた」。

 今後、軽量・高通気でありながら、耐久性やハリ・コシを維持した夏物向け素材、要望が増えつつある裏綿タイプなどの開発にも取り組む。

 生産面では、ベトナムの縫製子会社・東洋紡ビンズンおよび周辺の協力工場を活用した縫製OEMによる供給体制も構築。顧客の「ニーズに応じ、最適な形で供給できる」。来年2月に、現地で開催されるアパレル国際見本市「VIATT」に引き続き出展を予定する。卸売ライセンスを取得したビンズンを通じ、ベトナム国内での販路開拓にも取り組む。

 通期でも減収を見込むものの、現状の高付加価値化やニット化の流れを捉えながら増益の確保を目指す。