ごえんぼう
2025年10月09日 (木曜日)
80年以上もの間、一般公開されていなかったパブロ・ピカソ氏の油絵が、今月パリで競売にかけられる。時代背景を含め、興味深い作品と評論されている▼絵画「花柄の帽子をかぶった女性の胸像」は、ピカソ氏の恋人であったフランス人写真家のドラ・マール氏がモデル。同氏がかぶる鮮やかな花柄の帽子は、3色のパステルカラーで描かれている▼1943年、ナチスドイツ占領下のパリで制作されたこの作品は「陰鬱な雰囲気がある」と多くの美術専門家が分析する。2人の関係が終焉し、ナチスの影響下にあったパリを描画。プロテスト(抗議)の意味を込めたのかもしれない▼作品の最低価格は約14億円。一体どこまで上がるのか。芸術作品は社会を映し出す鏡でもある。翻って現代のファッションはどうか。表層的なトレンドに偏り、社会へのメッセージ性が欠けている。物足りない印象を受けるのは筆者だけだろうか。