ユニフォーム業界の風を読む(3)/シキボウ 繊維部門繊維営業部ユニフォーム課長兼機能衣料課長 川口雄司氏
2025年10月09日 (木曜日)
夏物が存在感増す
――上半期(4~9月)の商況は。
受注は好調に推移しています。下半期から出荷される案件も多く、売り上げは前年並みを見込んでいますが、利益面は確実に改善しました。高通気「アゼック」や電動ファン(EF)付きウエア向け生地といった夏物素材の需要が高まり、受注は前期比で1割以上増えています。差別化生地の構成比は5割を超え、定番品からの切り替えもさらに進みました。
ワーキング分野では、企業別注が引き続き好調です。34双ツイルなど従来の定番素材はやや減少傾向にありますが、新商品の採用が増えています。食品白衣も堅調で、アゼックが採用されました。スクール分野は、在庫調整の影響が残り、回復には一定の時間を要する見通しです。
――アゼックをはじめ、夏物素材が好調です。
アゼックはベーシックタイプを中心に、前期より販売量が増加しました。ストレッチ性やSDGs(持続可能な開発目標)対応といった機能をプラスした商品も増え、新しい提案には欠かせない素材になっています。夏の長期化で夏物の着用期間が延び、通年物でもアゼックを採用する企業が増えました。
EFウエア向けの生地も好調で、7~9月には追加発注が入りました。綿100%や綿・ポリエステル混素材が採用されており、シキボウ江南(愛知県江南市)で生産しています。EFウエア用途は高密度の設計が必要で、短繊維は加工の難易度が高く、対応できる企業が限られることも販売拡大の一因と考えています。
――下半期の取り組みは。
夏物素材の受注量が前期比で1割以上伸びたほか、上半期に受注した分の出荷や価格改定の効果も下半期に反映されます。通期では増収を見込んでおり、利益面でも黒字化を目指します。原材料費の上昇が続く中、価格転嫁が十分に進んでいない商品もありますが、今後も粘り強く価格改定に取り組みます。
製品OEMの引き合いも増えています。現在の売り上げ比率は約1割ですが、2027年度の中計最終年度までに2割への引き上げを目指します。ワーキング向けのポロシャツなど夏物製品を中心に、ベトナムやミャンマー、中国で縫製しています。生地は台湾敷紡などの海外拠点を活用し、需要に応じて最適な拠点から調達します。
大阪で開催中の展示商談会では、汗染み軽減や高通気など、機能をアップグレードした素材を紹介します。ユニフォーム分野は合繊素材の比率が高いものの、天然繊維回帰の傾向も見られます。短繊維ならではの特徴を生かした提案を強化していきます。
(毎週木曜日に掲載)