エシカルF協会員の取り組み(1)/コトセン

2025年10月10日 (金曜日)

試験反をアップサイクル

 2022年に設立されたエシカルファッション協議会(岡山市)は、繊維・アパレル業界からエシカル経済をけん引することを目的に活動している。デニムや染色加工、ユニフォーム関連など、さまざまな事業領域の企業が参加する同協議会。今連載では一部の会員企業の環境配慮に向けた取り組みを紹介する。

 コトセン(岡山県倉敷市)は、生地の最終仕上げである整理加工に携わる工場だ。デニムやジーンズの生産が盛んな三備産地に拠点を置くことから、デニムの整理加工を主力とする。

 同社が環境配慮に向けた取り組みとして近年力を入れているのが、反毛によってアップサイクルしたデニムの提案。従来は廃棄していた試験布や見本布を反毛し、これを使って作った糸を採用した生地を訴求している。綿製品の製造工程で発生する残糸や裁断くずなどを反毛し、紡績糸に再生するクラボウのプロジェクト「ループラス」と協力する。

 生地はデニムの生産が盛んな岡山県井原市や広島県福山市で製織。織組織を変えたり、黒色の顔料コーティングを施したりと、複数のラインアップをそろえる。岡山県織物染色工業協同組合が展開する安心・安全な独自の加工ブランド、「倉敷染」の認定工場であることも併せてアピールしている。

 今年2月には、フランス・パリで開かれた繊維総合見本市、「プルミエール・ヴィジョン(PV)・パリ」にデニム関連企業と連携して出展。海外でもPRした。

 同社はさまざまな生地を扱う整理加工の強みを生かし、別注ユニフォームブランド「ラダー」を展開している。渡邉将史社長は「ループラスによるアップサイクル生地を採用したユニフォームも今後展開していきたい」と話す。