トンネル補強に初採用炭素繊維シート/大林組

2025年10月10日 (金曜日)

 大林組は、東レ、コニシ、ケミカル工事(神戸市)と共同開発した炭素繊維シート接着工法「ワンバインドクロス」を、東北自動車道・竜ヶ森トンネル(岩手県八幡平市)の補強工事で初めて適用した。2方向補強が可能な炭素繊維シートを1層で施工できるため、従来工法に比べ工程を削減し、作業効率を大幅に高めた。

 トンネル補強では、従来200グラム/平方メートルの1方向シートを縦横2層に貼る必要があり、11工程を要していた。ワンバインドクロスは、縦横それぞれ200グラム/平方メートルの繊維を織り込み、1層で同等の補強効果を確保。工程数は8に短縮し、シート幅も従来の500ミリから1千ミリに拡大することで、作業回数を減らし約20%の省工程化を実現した。

 竜ヶ森トンネルでは、経年劣化に伴うひび割れや損傷を補修した上で同工法を採用。さらにトラック積載型足場「フラップリフト」を併用し、高所作業の効率化を図った結果、施工効率は従来比で約2倍に向上したと言う。

 大林組は今後、橋梁や建築構造物などへの適用拡大を進め、社会インフラの長寿命化と工期短縮に貢献する方針だ。