ごえんぼう

2025年10月14日 (火曜日)

 批判的な意見も少なくないようだが、政治家の決意表明としては実際どうなのだろう。自民党の高市早苗総裁の言葉。「全員に馬車馬のように働いていただく」▼同業他紙に猛烈に働いている先輩がいた。海外や国内産地への出張も多く、月間の執筆行数は繊維専門紙でトップクラスと豪語していたが、酒の席などでは「まるで馬車馬。休みも取れない」とこぼしていたのを思い出す▼馬車馬というと「酷使されている」「休みなく働いている」といった悪い印象を持つが、改めて辞書を引くと〈脇目も振らずに物事に取り組むことの例え〉とある。辞書通りだとするならば、言葉の印象が少し変わる気がする▼馬車は、御者の手腕も問われる。多頭で引く場合、力を抜く馬がいれば、勝手な方向に進もうとする馬も出てくるだろう。周囲の状況を把握する必要もあり、「脇目も振らず」とはいかない。総裁の手綱さばきにも注目したい。