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ロトボ/キルギス産羊毛を日本市場へ/温度調整に優れる品種など

2025年10月15日 (水曜日)

 一般社団法人のロトボはこのほど、「キルギス・ウール協会ビジネスプレゼンテーション」を都内で開催した。キルギスのキルギス・ウール協会と企業の4人が登壇し、日本ではなじみの薄いキルギス産ウールや製品を日本企業にアピールした。経済産業省の補助事業「中央アジア地域等投資環境整備・ビジネス振興事業」の一環となる。

 同国のファッション繊維協会の説明によると、同国内には大小約5千の繊維関連企業があり、生産される繊維製品の95%がロシアやカザフスタンをはじめとする諸外国に輸出されている。

 目下の課題として「量から質への移行」があり、付加価値の高い製品の生産に向けた加工部門の増強、さらには業界を挙げたブランディング戦略の策定を目指していると言う。

 プレゼンで、まず同協会がキルギス独自のメリノウールブランド「キリノ」を紹介。キリノはキルギス在来種「ジャイダラ」とメリノ種の交配種であるキルギスマウンテンメリノ羊から採取・生産される羊毛。標高が高い過酷な気候条件で生育するため、温度調節機能に優れると言う。

 今後は製品の品質向上やラインアップの拡大を通じ、国際市場におけるブランド確立を目指す。

 続いて、ウールのフェルト生地・製品メーカーであるトゥマル社が登壇。同社は「キルギスの伝統とモダンの融合」を商品開発のポリシーとして標榜(ひょうぼう)し、品質とシックなデザインが欧米で支持されている。

 製造面では「廃棄物ゼロ」を掲げ、裁断くずや規格外ウールなどを全て断熱材に加工しているほか、生分解性を持つ素材・材料のみを使用するなど、環境面に配慮した取り組みにも注力する。

 皮革製品メーカーのアリヤ社は加工から製造まで一貫生産体制を敷いている。子供服からインテリア用品、ペット用品まで幅広いラインアップをそろえるほか、羊毛由来の油脂「ラノリン」の含有量が高い同国の羊の特徴を生かし、車椅子カバーやニーパッドといった医療向け製品も製造する。

 プレゼンテーション後に両国間の個別面談会が実施され、計8件がアレンジされた。日本では珍しいキルギス産ウール製品を前に商談は熱を帯び、制限時間を超過する企業もあった。

 協会関係者は「近い将来、日本の百貨店などでキルギスのウール製品を目にする日が来ることを期待したい」と手応えを語っていた。

 プレゼンの資料は「日本キルギス投資環境整備ネットワーク」のサイト(URL:https://jp-kg.org/catalogue/)に31日まで公開されている。