大和紡績 「簡単にまねできない」で成長を

2025年10月16日 (木曜日)

 大和紡績は、ポリプロピレン(PP)とレーヨンを組み合わせた複合技術などを武器に、汎用(はんよう)品から脱却した高付加価値路線を強化している。合繊・レーヨン事業と東京本社を統括する青柳良典取締役産業資材事業本部長は「他社が簡単にまねできる技術ではない。当社の存在意義はそこにある」と話し、原料開発から製品設計までを一気通貫で担う体制を強みに成長軌道を描く。

 同社はこの5~10年、「コスト競争力のない汎用品からの撤退」と「最終製品に近い末端への接近」を徹底してきた。製品・テキスタイル事業では3月に合繊紡績主体のダイワボウスピンテック(松江市)の生産を停止。中国やインドネシアの拠点を軸に、インナーなど最終製品に近い領域での展開を進めてきた。青柳取締役は「大ロットではなく、独自性で勝つ時代。量を追うより、価値を創る」と強調する。

 特に成長をけん引するのが、合繊・レーヨン事業だ。日本で唯一のレーヨン短繊維メーカーであるダイワボウレーヨンを傘下に置くとともに、PP繊維では国内トップクラスの生産量を誇る。PPとレーヨンとの複合で独自の機能を持つ製品開発に注力。中でも化粧液保持性を高めたフェースマスクは市場で高い評価を受け、インバウンド需要の回復も追い風になっている。

 上半期(4~9月)は、記録的な猛暑による屋外工事の停滞を受け、産業資材事業の土木資材向けの販売が鈍化。さらに物価高騰を背景とした国内の衣料品消費の冷え込みが響いた。そのため、「計画に対して若干厳しい着地となりそうだが、収益性はしっかり確保できている」。

 下半期は新製品の投入と在庫調整の一巡で回復を見込み、通期(2026年3月期)での計画達成を目指す。27年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画ではちょうど折り返し地点となり、機能レーヨンなどグローバル展開を加速する。「インドネシアを拠点に欧米・東南アジアへ攻勢をかける」として、海外売上比率を前期の15・4%から20・8%へと引き上げ、来期には23・2%の目標を掲げる。