東洋紡せんい ROE10%目指す
2025年10月17日 (金曜日)
東洋紡せんいは、2026年度(27年3月期)から始まる次期中期経営計画に向けて、これまで以上に資本効率を重視した事業運営に取り組む。清水栄一社長は「次期中計でROE(自己資本利益率)10%を目指す」として、利益率重視の提案・販売を進めると同時に、プロダクトアウト型の開発・提案姿勢を強める考えだ。
中計最終年度となる25年度は、4月に東洋紡STCから工業材料事業と機能資材事業が移管されたため、24年度と単純比較はできないが、移管分を考慮した数字でも上半期(4~9月)は売上高横ばいながら増益で推移しているもよう。清水社長は「製品OEMを中心に不採算・低採算商権を縮小した結果」と話す。
輸出織物事業は中東向け民族衣装用織物と欧米向けナイロン高密度織物ともに好調に推移している。ユニフォーム事業はワークウエア用ニット生地が備蓄アパレル向けで健闘したほか、別注ユニフォームも新規案件の獲得で成果が出ている。マテリアル事業はインナー用途に依然として勢いがないものの、原糸販売が健闘。リサイクル綿糸「さいくるこっと」などへの注目が高まった。
一方、スクール事業は低調だった。流通在庫の増加から販売数量が減少しており、物量減による固定費負担が増加したことで利益率も低下している。スポーツ事業も国内市況に勢いがないことに加え、国内縫製工場を縮小し、海外生産に移管する過渡期にあることも影響したようだ。
こうした中、次期中計が始まる26年度に向けて「売上高はKPI(重要業績評価指標)から外しており、引き続き利益率重視で臨む」との考えを強調。次期中計ではROE10%を目標に掲げる考えだ。そのために「それが可能な事業と市場を見極めることが重要になる」と話す。
こうした観点から「これまではマーケットイン型の考え方が強かったが、今後はプロダクトアウト型の開発や提案を強める必要がある」と指摘する。繊維素材メーカーとしての原料・素材開発力を強みとし、そこに商社としての調達力を組み合わせることで「一格上のゾーンを狙った開発と提案を強化する」との考えを強調した。