ごえんぼう

2025年10月22日 (水曜日)

 なぞなぞを一つ。腐らず、物価高の中でもっとあればと思うものは何だ?▼正解は、お金。世の中の大抵のものは腐ったり、劣化したりして減価する。しかし、貨幣はインフレやデフレで相対的な価値の上下はあるものの、額面は変わらない。つまり腐らないと言える。保存可能でいつでも商品と交換でき、経済の血液のような存在となっている▼一方で、いつまでも腐らない財の退蔵で金持ちが生まれて貧富の差が広がるなど問題も大きい。ドイツの経済学者のシルビオ・ゲゼルは、貨幣の退蔵を問題視し、お金は老化しなければならない。そして経済プロセスの中で最終的に消滅する必要があると主張した▼この考えを世界恐慌の際に実践したオーストリアの町ヴェルグルでは、月初めに額面の1%が減価する地域通貨“腐るお金”を流通させ、経済を活性化させた。腐るお金には問題点もあるが、お金の本質を考えるヒントになる。