特集スクールユニフォーム(3)/探訪 学生服の現場から/本気で学び、未来を開く/学校法人君津学園 市原中央高等学校
2025年10月22日 (水曜日)
1983年創立の学校法人君津学園市原中央高等学校(千葉県市原市)は、「真心教育・英才教育」を建学の精神に掲げ、社会の担い手となる人材の育成に努めている。近年は、一人一人の進学希望に寄り添う少数精鋭の教育を実践。進学に特化した学校としての地位を確固たるものにしている。
〈特色ある3コース制〉
授業時間は1日7時間、週35時間を確保。上市善章校長は「学び方を学ぶ、進学に特化した学校」と話す。生徒の多様な学びに寄り添うため、「ハイレベルチャレンジコースⅠ類・Ⅱ類」と、少人数教育を特徴とする「グローバルリーダーコース」の3コースを設置している。
高い学力を養い、国公立大学や難関私立大学への現役合格を目指すハイレベルチャレンジコースは、目標に応じたきめ細かな指導と、高いレベルの学習環境の中で、希望進路の実現に向けた学力を徹底的に育成。グローバルリーダーコースは各学年少数精鋭で、英語をツールとして使いこなし、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目的とするなど、特色ある教育を展開している。
部活動では、放送委員会が2024、25年度に全国大会出場。硬式野球部は24年の全国高校野球選手権千葉大会でベスト4に進出するなどの実績を誇る。生徒の98・9%が千葉県内の中部地域を網羅するスクールバスで通学している点も特徴だ。
〈創立以来の制服更新〉
25年度、市原中央高校は創立以来親しまれてきた制服を大幅にリニューアルした。そのきっかけは2年前に迎えた創立40周年の節目だった。
制服更新プロジェクトは23年11月、正式に制服検討委員会が発足したことから始まった。メンバーは当時の校長と服装指導を担当する生徒支援部の教員2人、高校生の感性に近い若手教員3人の計6人の構成となった。
選定において最も重視したことは、「同校のブランドイメージを落とさないこと」だった。進学校としての品位を保ち、落ち着いた印象と清潔感を表現できるデザインが求められた。そしてもう一つの重要なテーマが、生徒が美しく「着こなす」ことを促す制服である点だった。従来の制服は、着崩すと途端にだらしなく見えてしまうという課題を抱えていた。そのため、新しい制服には、生徒が自然と正しい着こなしをしたくなるような、デザイン上の工夫が求められた。
24年2月には、複数の制服メーカーによるコンペを実施。各社から魅力的な提案がなされる中、最終的に選ばれたのは、トンボが提案したファッションブランド「イーストボーイ」と協業した学生服だった。デザイン性の高さに加え、特に若手の教員からブランドイメージへの強い支持が集まったことが決め手となった。
その後学校側の要望を細かく反映させる作業が続いた。例えば、女子生徒がスカート丈を短くするためにウエスト部分を折り曲げられないような仕様にするなど、美しい着こなしを維持するための具体的な工夫を随所に施した。
このようにして、学校の伝統と新たな時代の感性が融合した新制服は、半年以上かけて24年6月に完成した。
〈着こなしは意識高く〉
25年4月、新入生から着用が始まった新制服は、生徒や保護者から高い評価を得ている。デザインの最大の特徴は、創立以来の紺無地から、上品なチェック柄のスラックス、スカートへと大幅にリニューアルした点だ。シャツも肌触りが良く通気性に優れたブルーニットシャツに変更した。
新制服の魅力はデザインだけではない。40年の時を経て、機能性も格段に進化した。家庭で丸洗いが可能なほか、撥水(はっすい)加工やストレッチ性も備える。さらに、ズボンやスカートのセンタープレスが消えにくい加工も施されており、生徒が常に清潔で美しい状態を保ちやすいよう工夫されている。
このリニューアルに対し、2、3年生からは「うらやましい」「自分たちも着たい」といった声が多く聞かれた。実際に着用している1年生からは、「チェック柄が気に入っている」「ニットシャツの着心地がいい」「イーストボーイのワンポイントが他校の友達からうらやましがられる」など、喜びの声が上がっている。保護者からもデザイン、素材、価格、ブランドの全ての面で好評だ。
教員も「校内に清潔感が出た」と感じており、何よりも「制服を着崩す生徒がいなくなった」という大きな変化を実感している。
上市校長は、「生徒たちには、自分たちの制服だという意識を高く持ち、誇りを持って着こなしてほしい。その姿は、後輩となる中学生たちの憧れにもつながる」と語る。新しい制服は、市原中央高校の新たな歴史を象徴するとともに、生徒一人一人の心に誇りを育む大切な役割を担っている。





