特集スクールユニフォーム(4)/探訪 学生服の現場から/学校法人久留米工業大学●誠高等学校/自由に着こなせる制服が完成
2025年10月22日 (水曜日)
学校法人久留米工業大学●誠高等学校(福岡県久留米市)は来春に制服をリニューアルする。刷新は21年ぶりだ。オリジナルのチェック柄を取り入れたほか、オプションアイテムを豊富に用意し、生徒自らが着用したい制服を選んで着こなせるようにした。イメージチェンジによって、入学者増にもつなげる考えだ。
〈豊富な学科を用意〉
●誠高等学校は1962年に設立された久留米工業高等学校をルーツとする高校で、2005年に現校名に改称した。現在は1184人の生徒が通っている。
豊富な学科を持つことが同校の特徴だ。普通科と工業科の二つを併設している。工業科には機械科、のりもの未来科、土木科、情報技術科を持ち、専門教科と実習に力を入れている。約6割の生徒が卒業後に就職を選択し、学校紹介による就職率は21年連続で100%を達成している。
普通科には特別選抜コース、特別進学コース、進学コース、ドリームコースを持つ。特別選抜コースでは国公立大学への現役合格率が7年連続で50%を超えている。
特徴的なのがドリームコースだ。進学系のコースに所属する生徒は行きたい大学を目標にする一方、ドリームコースではインターンシップなど出会いや体験の場を用意し、前向きな行動力の体得や自身の夢を深められる生徒を育てる。進学、就職、どちらの進路にも対応できる人間力を養えるコースとなっている。
クラブ活動も盛んだ。自転車競技部や弓道部、陸上部は全国大会にも出場しており、賞も獲得する実力を持つ。
〈創立60周年機に制服刷新へ〉
22年の創立60周年が制服を刷新する一つのきっかけとなった。21年間変わらず、地域へのイメージも定着している制服を刷新することで、学校のイメージを新しくし、入学者減に歯止めをかけるという狙いもあった。
ただ、当時は活発な活動ができず、導入までには至らなかった。24年4月に改めて制服検討委員会を立ち上げ、制服のリニューアルに向けて検討していくことにした。
まず、新制服の方向性を確認し学生服メーカーへの依頼内容を検討。同年10月、参加を表明した4社によるプレゼンテーションを実施した。検討を重ね、明石スクールユニフォームカンパニーの制服を採用することに決めた。
その後、制服のベースデザインに加え、オプション商品として何が必要かなどの検討を同委員会とともに生徒会役員からの意見も聞きながら検討を進め、制服の完成にこぎつけた。
〈色のバランスにこだわり〉
来春から導入する新制服は、従来の詰め襟スタイルの制服とは打って変わり、ブレザータイプの制服となる。高校生らしい清楚さと可愛さを保ちつつ、スタイリッシュでカジュアルなデザインに仕上げた。
一番の特徴は夏服、冬服という分け方をなくし、その時の気候や気分に合わせて自由に着こなしができるスタイルを採ることだ。入学式など式典に着用する正装としての制服に加え、オプションを豊富にラインアップした。スラックスやスカート、ネクタイ、リボン、長袖シャツ、半袖ポロシャツを数種用意したほか、パーカや、真夏の暑い日でも快適に過ごせるハーフパンツをなども用意した。
ジャケットの色はスクールカラーである青を基調とした。スカートのチェック柄はスコットランドのタータンメーカー、「キンロックアンダーソン」認定の同校オリジナルのチェックとなる。
山科純二教頭は「オリジナルのチェック柄との色の相性など、トータルバランスを考えることに一番悩んだ」と振り返る。例えば、ジャケットの色との調和を意識し、シャツの色にはラベンダーを採用。オプションとして、白色とクリームイエロー色のシャツも用意する。
細部にもこだわる。同校が大きな夢の実現に向かって航海しようとしている情景を表した校歌「希望号はゆく」の歌詞から着想を得たデザインをジャケットのエンブレムとボタンに採用した。
今年8月に中学3年生と保護者向けの体験入学時に新制服を披露した。山科教頭は「女子からは可愛いという声が多かった」と話す。同校職員からの反応も好評だったようだ。来春から新制服に身を包んだ新1年生が学校に通うことになる。山科教頭は「これを着て登校している姿を見るのが今から楽しみです」と語る。
(●は示へんに右)





