クラレトレーディング 原糸からの開発を強化
2025年10月23日 (木曜日)
クラレトレーディングは、2027年度(12月期)から始まる次期中期経営計画に向けて原糸からの開発を一段と強化する。クラレグループの独自素材の活用も積極的に進め、原糸から縫製までのサプライチェーン全体で繊維事業の付加価値を追求する戦略を改めて徹底する。
26年度は、上半期(1~6月)の業績で過去最高の数字となり、絶好調が続いていたが、下半期(7~12月)に入って、やや勢いが鈍化したもよう。山田武司社長は「主力のスポーツ衣料はアウトドア分野の好調が続いているが、学販体育衣料が思わしくない」と話す。
学販体育衣料では流通在庫が依然として高水準なため、生産調整が長引いている。また、アウトドア分野では受注好調が続いているものの、染色・縫製スペースがタイトになっており、納期も長期化しつつあることから、これ以上の受注積み増しが難しい状況だ。山田社長は「通期で何とか前期並みの数字を確保したい」とする。
こうした中、26年度は現中計の最終年度となり、27年度から始まる次期中計に向けた戦略の策定が重要テーマとなる。「これまで縫製分野の強化を進めてきたことで、どうしても川上工程での開発が手薄になりがち」との認識から、改めて原糸からの開発に力を入れる。
クラレグループは今年12月末までに生産子会社のクラレ西条(愛媛県西条市)でのポリエステル長繊維生産を停止し、グループ外での委託生産や調達に切り替える。これを機会に「委託企業に対して口金など設備の供与に加えて、生産・開発担当の人材も積極的に派遣し、ポリマー改質や原糸の共同開発を進める」とする。
また、ビニロン繊維やポリアリレート繊維「ベクトラン」などクラレグループが持つ独自素材の活用も積極的に進める。これら独自性のある原糸と縫製までのサプライチェーン全体で、付加価値を創造する戦略を一段と強める。山田社長は26年度に向けて「原糸から縫製までの各工程を“ピカピカ”に磨き上げる」と強調する。





