特集 PANTEXTILES OSAKA 2025/11月6、7日に開催/サステ・機能性の最新素材一堂に
2025年10月24日 (金曜日)
台湾の繊維産業連合会、紡拓会は11月6、7日の2日間、大阪OMMビル(大阪市中央区)で素材・製品展「パンテキスタイル大阪2025」を開く。メーカーおよび商社計61社が出展し、サステイナビリティーと機能性を追求した商材を訴求する。各社の出展内容を紹介する。
〈遠東新世紀/長・短繊維の総合力〉
繊維大手の遠東新世紀(ファーイースタン・ニューセンチュリー)は、長・短繊維双方の服地および工業用の糸と、編み物製衣類を出展し、総合力をアピールする。
主力の一つは、車両資材などに対応する高強度フィラメントだ。一貫生産体制を強みとし、台湾、中国・蘇州に加え、2026年末からベトナムでの生産も予定する。
花形の異形断面長繊維を使った編み物は、熱エネルギーを吸収し、ドライで通気性が良く、体を一定の温度に保つ。このほか、サステイナビリティーの国際認証を取得した綿花使いの紡績糸や、撥水(はっすい)機能を持つナイロン66などを打ち出す。
〈南緯/独自の染色・加工技術〉
紡績から縫製までグローバル展開する南緯(テキスタイル レイ)は、独自開発の二つの技術を武器に日本市場の開拓を本格化させる。
その一つが、環境配慮型染色技術「Eco Adore」(エコアドール)だ。独自の機械と助剤により、従来の方式に比べて水やエネルギーの使用量を80%以上削減。綿とナイロンで量産可能で、堅ろう度も従来品と同等レベルを達成する。
もう一つは、新開発の吸汗速乾素材「MT SWEAT」(エムティースウェット)。特殊な生地構造により、肌側の汗は吸うが、表面には汗染みが広がりにくいのが特徴だ。
〈漢鴻生物訊息科技/疲労回復、快眠素材〉
バイオインフォマティクス(生物情報科学)を応用した素材開発に取り組む漢鴻生物訊息科技(トーシ・テック)は、疲労回復や快眠の促進効果が期待できる繊維を出展する。
メインは、疲労回復の促進が期待できる「α波纖維」だ。心身のリラックス時に発する脳波(α波)の強度を高める効果があると言う。この繊維は、α波を放出するシリコンやチタンをマスターバッチに埋め込む方法で生産されている。
また発汗・脂肪燃焼の促進や、体の痛みを和らげ、回復させる効果が期待できる素材を訴求する。
〈宏遠/使いやすいサステ素材〉
仮撚り加工糸(DTY)から織布、染色加工、縫製まで一貫展開する宏遠(エベレストテキスタイル)は、使いやすい価格帯のサステイナブル素材を提案する。
バイオナイロン使いの二重織は、ドライタッチで春夏のアウター向きだ。バイオナイロンを経糸のみに使用し、価格を抑えた。
海洋プラスチックゴミと、工場から排出される二酸化炭素(CO2)を原料にしたポリエステルを組み合わせた素材使いのドビーは、秋冬のジャケット地やパンツ地として提案。レーヨン・ナイロンの混紡糸などの短繊維使いの織物も訴求する。
〈福懋/差別化機能性複合糸〉
合繊織物メーカー最大手の福懋(フォルモサ・タフタ)は今回、主力の機能性とサステイナビリティーを追求した長繊維織物に加え、差別化した短繊維・長繊維複合糸や紡績糸を提案する。
複合糸使いの織物は、長繊維の寸法安定性と短繊維の柔らかさを兼ね備えているのが特徴で、大手ヨガブランドのTシャツに採用されている。
東レやカネカなどの日本メーカー製原料や、台湾産のパイナップル繊維を使った糸も提案する。
パイナップル繊維は、綿やリサイクルポリエステルなどとの混紡糸(10~40ゲージ)を展開している。
〈晶安/価格競争力ある台湾品〉
台湾の出資工場や中国の協力工場で、織物と編み物を生産する晶安(ラボ・テックス)は、価格競争力のある台湾製春夏向け機能素材を打ち出す。
主力の一つは涼感糸を用いたポリエステル100%またはナイロン100%の編み物。厳しい夏に対応するQ―max0・2以上の接触冷感が特徴だ。UVカット機能も備え、スポーツ、カジュアル用途に提案する。
形態安定加工の織物も訴求。旅行着やユニフォームに適したイージーケア性を実現した。このほか、「クールマックス」の糸などを使った天然素材調の長繊維織物もそろえる。
〈「アバセル」/機能性のマニラ麻紙糸〉
紙糸製紙メーカーの中日特種紙廠(CRP)は、製紙技術を応用して開発したマニラ麻ベースの紙糸「Abacell」(アバセル)を訴求する。
マニラ麻100%の紙糸は、綿より30%軽量でありながら、50回洗濯後も強度を保つ高い耐水性が特徴だ。繊維の多孔質な構造で吸湿速乾性、消臭性、通気性にも優れる。天然の抗菌性、土壌や海水中での高い生分解性も持つ。
今回展では、このマニラ麻紙糸に加え、FSC認証原料の紙糸や、紙糸とリサイクルポリエステルを撚り合わせたファンシーヤーンなども出展する。
〈綿春/サステ素材使いの編み地〉
ベトナムと台湾で編み地を生産する綿春(MDSグループ)は、秋冬向けのサステイナブル素材をテーマに、多彩な編み物を提案する。
主力の一つは、ポリエステル100%のかさ高糸を用いた保温性の高い丸編み地。アウターやジャケットに適する。
二つ目は、リサイクルポリエステルを使用した起毛加工のトリコット。ジャケットやセットアップ向けに提案する。
繊維to繊維素材も丸編み、トリコットの両方で展開。欧米ブランドからの問い合わせが増えていることから、日本市場への浸透も期待する。
〈●亜/涼感PE素材の“進化版”〉
PE(ポリエチレン)繊維を用いた涼感素材を得意とする●亜(ティアラ)は、機能性を刷新した最新素材を披露する。
主力の編み物では、PE50%・ナイロン50%の特殊複合糸を新たに開発。PEが持つ接触冷感に加え、ナイロンが持つ吸水性によって汗の気化熱を利用した持続的冷感を実現した。
今季からは織物も本格投入する。PEとポリエステルを交織した涼感パンツ素材を戦略製品と位置づける。
小ロットからさまざまな色に対応できるPEの原着糸の供給体制もアピール。日本市場の多品種・小ロットニーズに応える。
(●は糸へんに是)
〈新光紡織/高機能・サステ糸の織物〉
合繊織物メーカー、新光紡織(シンコン・テキスタイル)はグループ会社、新光合繊が開発した機能糸ブランド「シグマ」などを使った三つの素材を打ち出す。
一つ目はTPEE(熱可塑性ポリエステルエラストマー)使いのメカニカルストレッチ織物。リサイクル原料を使い、UVカット、かさ高性、ソフトな風合いを追求した。
二つ目は米イーストマン社のアセテート繊維「NAIA」(ナイア)の紡績糸を使った織物。シルクのような風合いのサステイナブル素材だ。
三つ目は繊維to繊維素材。ケミカルリサイクルポリエステル最大手の浙江佳人新材料(ジャーレン)などの原料を新光合繊が紡績した糸を使用する。
〈大宇/伝統織物融合した新製品〉
台湾でポリエステルの仮撚り加工糸(DTY)から織物までを一貫生産する大宇(ユニバーサル)は、「千年の織技と現代技術による革新」をテーマにする。台湾タイヤル族の4千年の歴史を持つ織物を、現代の生地開発に融合するプロジェクトを推進中で、その世界観を発信する。
主力の出展アイテムは、特殊なブラッシュ加工を施したウール調ポリエステル織物。軽量で高いストレッチ性、イージーケア性を持つ。
導電糸を使い除電性を高めたウール調素材は、スーツやユニフォーム向けに提案。東洋紡と共同開発したナイロンとPLA(ポリ乳酸)を組み合わせたメッシュ素材も披露する。
〈五綸/猛暑対応の機能編み物〉
ベトナムと台湾の自社工場で、経編み地と丸編み地を生産する五綸(ウールエン)は、猛暑に対応する遮熱とUVカットをテーマにした編み物を打ち出す。
主力は、特殊な糸の組み合わせと編み地の組織構造によって遮熱性を高めたポリエステル100%の編み物だ。
サステイナブル素材も拡充。ペットボトルリサイクル繊維を主軸としつつ、顧客の要望に応じて繊維to繊維の採用も可能。
またスパンデックスを使わないメカニカルストレッチ素材も訴求する。95%の高い伸縮回復率を実現し、リサイクルが容易な点をアピールする。
〈世堡/サステと高機能の両軸で〉
服地から工業用まで、幅広い編み物を生産する世堡(スーパーテキスタイル)は、サステと高機能を両立させた台湾素材を打ち出す。
サステ素材は、マニラ麻の紙糸「アバセル」と、廃棄される葉を再生したパイナップル繊維の二つを訴求する。軽量性や通気性に加え、天然の抗菌・消臭性が特徴だ。
機能性では、汗に反応して温度を下げるキシリトール涼感加工編み物や、汗ジミが目立たないポリエステル素材を訴求する。
機能性チタン材料を応用した抗菌・抗ウイルス素材も披露する。洗濯耐久性が高く、病院のシーツやユニフォーム向けとして提案する。
〈力泰/高機能モノフィラメント〉
1977年に設立されたモノフィラメントの専門メーカー、力泰(リータイ)。台湾、中国、ベトナムに四つの生産拠点を持つ。初出展の今回は、独自開発した高機能・サステイナブル素材を提案する。
熱可塑性エラストマー(TPEE)モノフィラメントは、単一素材であるためリサイクルが容易。シューズのアッパーやホームテキスタイル、カーシートなどに適している。多彩な色表現に対応する。
芯鞘モノフィラメントは、接着剤を使わずに立体的なメッシュ生地などを成形できる。シューズ生地やオフィスチェアのメッシュ部分などの用途に向いている。
〈崇躍/猛暑対策の機能丸編み地〉
生地商社の崇躍実業(エリック・テックス)は、猛暑に対応する機能的な丸編み地を多彩に打ち出す。ジャカードなど通気性を高める組織も豊富にそろえる。
主力は、独自開発のUVカット糸「SUNMORE」(サンモア)使いの最新素材。ポリエステル100%でありながら、特殊な組織設計によりスパンデックスに匹敵するストレッチ性と、高い通気性、吸汗速乾性を両立させた。
ナイロンを主原料とする涼感丸編み地も訴求。糸自体の含水率と通気性を高め、汗が蒸発する際の気化熱を利用して涼感を得る。スポーツブランドのポロシャツなどに適している。
〈中統/競争力ある裏地と帆布〉
中統(ゾントン)は、台湾・東部の織布工場で生地と裏地を生産する。裏地が売り上げ全体の7割を占める。今回は、多様な裏地と価格競争力のある帆布をアピールする。
主力の出展アイテムは、ポリエステル、綿、混紡糸などの素材を用いた多岐にわたる裏地だ。アパレルから帽子、バッグ用途まで幅広く対応する。
綿100%の帆布は、「中国製よりも安価」な価格競争力を前面に打ち出す。綿100%のキッズウエア向け生地なども出展する。
これまでは米国顧客が多かったが、今回展を機に、日本市場の本格的な開拓に乗り出す。
〈紡城/独自技術の編み物製衣類〉
山東華盛創新紡織科技傘下で、編み立てから製品まで展開する紡城(ファウンドステイト)は、独自技術を使った編み物製衣類を出展。
織物調の丸編み地を使ったウエアは、ビジネスシャツ地に最適。綿100%で、後加工により涼感性も付与した。
米国産ピマ綿使いの編み物製衣類は、独自の染色技術「ウルトラソニック」を用い、柔らかい風合いと高い寸法安定性を実現。
ナイロン使いの一方向水分伝導性の編み物は、汗を生地の裏面から表面へ一方的に移動させ、素早く蒸発させることで肌面をドライに保ち、水分の逆戻りを防ぐのが特徴だ。
〈棉品/極細番手綿糸の編み物〉
棉品(ミエンピン)は、台湾の希少な綿糸使いの編み物メーカーだ。コーマ綿を使用した高付加価値の編み物などを出展する。
極細番手の綿糸を用いた高密度で薄手の編み地は、欧州の大手ブランドへの採用実績を持つ。綿とスパンデックスの混紡糸を使ったストレッチ性の高い100番手クラスの編み地や、コンパクト紡績による毛羽の少ないクリーンな表面感を持つ生地なども打ち出す。
サステイナビリティーの追求も同社の特徴で、コーヒーかす繊維やパイナップル繊維などの植物由来素材を用いた編み地も出展する。
〈東紡/遮熱や汗染み抑制生地〉
染色一貫の織物メーカー、東紡興業(ワイドプラス インターナショナル)は、春夏向けの素材開発に注力する。
今回の目玉は、独自開発した遮熱糸「ミニアール」だ。新開発の第2世代には、光触媒を付与し、抗菌、防臭機能も併せ持つ。異形断面により近赤外線を反射する糸で、昨今の猛暑対策に適した素材として打ち出す。編み物と織物の双方を出展する。
超フルダル糸を使用した汗染み抑制の編み物と織物も、春夏向けとして訴求。秋冬向けには、軽くて涼しいラミネーション生地をアウトドアジャケット向けなどに提案する。
〈●達/高機能3層織物で省人化〉
●達(ジョルダー)は、中国・厦門の自社縫製工場(金佳穎製衣)と共同開発した高機能3層織物を製品とともに披露する。
同社は長年、欧州高級スキーブランドや、日本のスポーツブランド向けのOEM生産を展開。近年、生産効率を高めるための素材開発に着手した。
今回の新素材は保温、透湿、防水、防風機能を実現する一方、従来の同種素材より大幅に軽量・柔軟化した。これによって、縫製時の針穴や生地破損のリスクを低減。熱圧着技術と組み合わせることで、生産効率を30%向上させ、コストを50%削減できると言う。
〈宏良/涼感・汗染み防止生地〉
台湾・嘉義県の自社工場で織物を、協力工場で編み物を生産する宏良(ハイテキス)は、猛暑向けの涼感や快適性を追求した生地を提案する。
主力の一つはストレッチ性と涼感を追求した織物だ。遮熱糸を使用することで温度低下効果を持ち、熱反射により暑くなりにくい。
二つ目は、ポリエステル100%の汗染み防止生地。汗の痕を目立たなくする機能で、仕事からレジャーまで幅広い用途を見込む。ポロシャツ向けなどの編み物として提案する。
また昨年から提供を開始した3D生地シミュレーションシステムも紹介する。
〈立祥/差別化ナイロンDTY〉
台湾のナイロン仮撚り加工糸(DTY)メーカー最大手の立祥(リーシャン)は、細デニール糸の開発に注力している。
今回の主力の一つは、ポリエステルとカチオン繊維を使った「TCD糸」。異なる染料を使用し、二色や花紋などの特殊効果を生地で表現できるのが特徴。ファッションやスポーツ用途向けに、色が鮮やかに染まる点を訴求する。
二つ目は、カチオン染料で低い温度で染められるCD糸。同社主力のナイロン糸では、30デニール/12フィラメントといった細デニールの開発品を打ち出す。
〈明興/「ムダゼロ」糸使いの生地〉
台湾とベトナムのグループ工場で、染色加工から一貫で織物と編み物を生産する明興(ソリス)は、サステイナビリティーを軸に多彩な機能素材を提案する。
目玉は、カイタックグループが推進する衣類回収リサイクルプロジェクト「MUDA ZERO」(ムダゼロ)のリサイクル糸を使った生地。ユニフォームやファッション用途の開拓を狙う。
キシリトールプリントを施した持続冷感素材は、ポリ・ナイロンの双方で展開。また、独自のPE(ポリエチレン)糸を用いた接触冷感編み物や、セラミック練り込みによる遮熱素材も訴求する。





