「TITAS」 関係者インタビュー(下)/新材実業 萬全朕総経理
2025年10月27日 (月曜日)
サステな日本素材を訴求
――会社の概要を。
特殊な不織布を中心に、日本などの世界中の新材料を扱っています。商材カテゴリーは、産業資材、生活資材、先端資材(グラフェンフィルムや炭素繊維不織布など)です。主力の市場は、米国と台湾。一部商材は、台湾のコンビニエンスストアや電子商取引(EC)サイトなどでの小売りを取り組んでいます。
――強みは。
技術とマーケティングの統合能力です。特殊不織布というニッチな分野で世界中のサプライヤーから優れた素材を見つけ出し、その技術的特性を深く理解すること。そして、それを各市場の顧客のニーズに落とし込み、製品の価値を最大限引き出すことに努めています。
――「TITAS」に初出展した目的は。
「新材」という社名の通り、当社は最新素材を繊維業界に提案したいという思いがあります。今回は、旭化成のキュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」を使ったペーパーヤーン「ベンブリーズ」と、東洋紡エムシーの3層構造型網状繊維構造体「ブレスエアー」を使ったマットレスを広く知っていただく絶好の機会と捉えました。
――出展成果は。
多くの加工工場やブランド、流通関係者がわれわれのブースを訪れました。商談を通じ、市場ニーズと開発の方向性が明確になったことが収穫です。
――今回展はサステイナビリティーがテーマの一つでした。
当社も、ベンブリーズとブレスエアーのサステの特性を訴求しました。
ベンブリーズは、キュプラ使いの不織布を細いテープ状にカットし、それを糸にした製品です。生分解性があり、国際的な生分解性認証も取得しています。
一方、台湾では高齢者施設や在宅介護のニーズが高まっていますが、従来のマットレスは廃棄が難しく、リサイクルも困難。そこで、リサイクル可能なブレスエアーを使ったマットレスを打ち出しています。高価格帯ですが、在宅高齢者や高層マンションに住む層から注文をいただいています。大手ECサイトでも販売開始し、着実に実績を上げています。
――米国向けも多いとのことですが、相互関税の影響は。
米国顧客は、関税問題を受けて中国以外のサプライチェーンを求めています。われわれは台湾を拠点に、日本の優れた原料サプライヤーとも連携を強化し、このニーズに応えていきます。特に、台湾の半導体サプライチェーンに関連する高機能フィルターなどの分野では、米国工場からの要求が高まっています。
半面、米国ではインフレや経済情勢の影響で、サステよりも目先のコスト削減が優先される傾向が見られます。しかし、当社はサステと市場ニーズを両立させる新材料の開発と普及に引き続き注力していきたいです。
(おわり、台北=岩下祐一)





