繊維大手5社とRITE 「繊維to繊維」実現へ
2025年10月28日 (火曜日)
帝人フロンティア、クラボウ、東レ、日清紡テキスタイル、ニッケと公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)は、廃棄衣料品を繊維として再利用する「繊維to繊維」の資源循環構築を目指し、コンソーシアム「コンソーシアム・フォー・ファイバー・トゥー・ファイバー」(CFT2)を設立した。共同で技術開発や評価手法の検討を進め、循環型社会の実現を目指す。
6者は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募する「バイオものづくり革命推進事業」に「繊維to繊維の資源循環構築の実現に向けた研究開発・実証」を共同提案し、採択されている。CFT2設立は、このプロジェクトの一環。今後、6者は協力して再資源化が困難だった複合繊維素材による廃棄衣料品の再資源化に取り組む。
具体的な取り組みとして繊維大手5社で「未利用資源である廃棄衣料品の再資源化技術の開発・実証」を進める。また、帝人フロンティアと東レで「未利用資源である廃棄衣料品を再活用するための選別技術の開発・実証」、RITEが「廃棄衣料品の再資源化のための産業用酵素・微生物開発プラットフォームの構築と、繊維のバイオリサイクル技術の確立・高度化」を担当する。さらに6者共同で「バイオものづくり製品の社会実装のための評価手法等の検討」にも取り組む。
繊維大手5社が培ってきたメカニカルリサイクルやケミカルリサイクル技術を活用し、世界に先駆けて天然繊維と合成繊維の両方に対応した衣料品の資源循環システムの構築を目指す。
NEDOの事業は2032年までの8年間。コンソーシアムのメンバーである帝人フロンティアの重村幸弘取締役執行役員は、繊維to繊維リサイクルは複合素材の分離が課題とし、「綿とウール、ポリエステルの分離から始めるが、8年間でナイロンとアクリルの分離も確立したい」とした。
日本国内では年間約82万㌧の衣料品が市場に投入される。うち約56万㌧が家庭や事業所から手放され、廃棄・処分されている。「40年までにこれをゼロにすることが最終的な目標」(重村取締役執行役員)とし、他の素材を扱う企業が取り組みに参加する可能性も示唆した。





