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帝人フロンティアのユニフォーム素材 暑熱対策の展開拡大

2025年10月30日 (木曜日)

 帝人フロンティアの衣料素材本部テキスタイル第二部は、暑熱対策と環境対応を軸にユニフォーム素材での展開を広げている。「糸や構造体で差別化してきた」(同部の白石和男部長)戦略が奏功し、企業別注が伸長した。リサイクルポリエステル繊維「エコペット」が今年で30周年を迎えたことを機に、資源循環型の提案も加速させる。

 上半期(2025年4~9月)は、企業別注や大型案件の獲得が寄与し、前年同期比で増収を見込む。ワークウエアが売り上げをけん引したが、人件費や物流費などのコストアップに対し価格転嫁が追い付かず、利益は横ばいにとどまる見通しだ。

 下半期は一部で生産調整に入る可能性があるが、収益改善を重視しつつ増収を目指す。国内生産の小回りが利きにくくなっている現状を踏まえ、海外拠点を活用した生産体制の確立も検討している。

 主力のワーキング分野は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」をはじめとした差別化素材の販売が堅調に推移。メディカル白衣や食品白衣、防塵(ぼうじん)服向けも伸長した。防透け素材とソロテックスを組み合わせるなど、付加価値の高い提案を広げている。

 特に暑熱対策が好調で、高通気とストレッチ性を両立させた織物「エアーインプレッション」は、上着にもボトムにも使える耐久性も評価され、販売が拡大している。

 スポーツ分野の技術を応用した素材開発も進み、汗染みを目立たなくする編み地「デュアルファイン」は、接客を伴う現場の需要を捉えている。オフィス向けは梳毛調ポリエステル織物「トリクシオン」も好評で、ファッション部門にも波及する。

 同社は業界に先駆けてリサイクルに取り組み、環境対応を全社の主軸に据えている。佐川急便、ミズノと連携した「資源循環スキーム」の試験運用が「着実に進んでいる」ほか、 繊維商社チクマ(大阪市中央区)の「EPD(環境製品宣言)」環境ラベルを取得したユニフォームに生地が採用されるなど、社外との連携も広がっている。