第4回ザ・メーカーズ・アパレルショー レビュー/進化続ける中国OEM・ODM企業 Vol.6

2025年11月04日 (火曜日)

中高級衣料品に照準

 中国での生産を人件費の安い東南アジアにシフトする動きが加速している。そんな中、今回展では中高価格帯の製品生産に対象を絞り、技術力や小ロット生産をアピールする出展企業が目立った。安価な製品を大量生産するのが強みの東南アジア勢と差別化を図る狙いだ。

 山東有蓮紡織科技はワンピースやシャツ、アウター、キッズ製品など幅広く手掛ける。山東省に自社工場を持ち、生地から縫製まで一貫生産できるのが強みだ。

 英国や米国、韓国、中国のアパレル企業が主な顧客だったが、昨年から日本企業とも取引を始めた。トランプ米政権による関税問題で米国との取引が減った分を日本市場で補うためだ。

 日本との取引では短納期や小ロット生産のほか、デザインの細かい要望に応えられるかが重要になると言う。

 担当者は「安価な製品の生産は東南アジアにシフトしているため、最近は中高級衣料品の生産を拡大する方針にかじを切っている」と話す。

 青島優美佳衣工貿は、20~50代向けの婦人服を生産する。全て日本向けだ。山東省に自社工場を構える。近年は高品質なブラウスやワンピース、スカートなどを中心に手掛け、東南アジアの縫製工場との違いを打ち出している。

 日本のアパレル企業と取引を始めたのは約15年前だ。当初は安価な衣料チェーン店向けの製品も扱っていたが、近年は中高価格帯の製品に特化して請け負っている。

 東南アジアに生産工場を設ける中国企業も増えているが、「高品質・高価格帯の製品は東南アジアの工場では作れない」と担当者。「日本の取引先企業からも中国の生産拠点や縫製技術を維持してほしいとの強い要望がある」と打ち明ける。

 ただ、年産15万枚の能力を持つ工場の稼働率は落ちており、顧客の新規開拓が急務となっている。担当者は「今回展では6社の日本企業と前向きな話ができた」と収穫を語る。

 TONGXIANG VOOM LEATHER&FURは、フェイクファーコートや合皮ブルゾンなどを取り扱う。ほぼ100%が日本向けで、中高価格帯の製品だ。浙江省に自社工場を置く。

 以前は毛皮(リアルファー)や本革のブルゾンも手掛けていたが、需要の減少を受け2017年ごろにフェイクファーや合皮に全面的に切り替えた。

 近年は暖冬の影響で薄手や短丈、袖なしのニーズが増えていると言う。1型300着から生産する。新規取引先の開拓を目指し、今回初めて出展した。