島精機製作所 新機種投入で成果出す

2025年11月05日 (水曜日)

 島精機製作所は、2026年3月期での黒字浮上に向けて順調な業績を維持している。25年4~9月期は経常増益となり、純利益も黒字化。島三博社長は「当社は元々、下期型の収益構造。第4四半期(26年1~3月)への準備期間として、手応えが出てきた」と話す。下半期には新機種も市場投入することで成果を出す考えだ。

 25年4~9月期は売上高、受注台数ともに計画を上回る実績となるなど業況が好転しつつある。米国の関税政策への警戒感から需要家が設備投資に対して慎重な姿勢を取っていたが、ここにきて米国と各国の関税交渉が妥結しつつあることから、ホールガーメント(WG)横編み機、コンピューター横編み機ともに設備投資が回復傾向だ。

 下半期は、市況の回復を確実に取り込むと同時に、このほどシンガポールで開催された国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME シンガポール」でも披露した新機種を市場へ投入する。島社長は「価格競争力のある機種も出している。1日も早くデリバリーを開始し、バングラデシュなどアジア市場を中心に販売の成果を出す」と話す。

 また、欧州市場に向けてはWG横編み機のほか、新型シンカーシステムで立体編み性能を高めたコンピューター横編み機「SES―R」のプロモーションを強化し、需要が高まっている服飾雑貨生産の需要を取り込むことを狙う。また、中国市場に関しても12月の中国繊維機械見本市「上海テックス」に出展し、こちらでも新機種を積極的に提案する。

 デザインシステム「SDS―ONE APEX」の提案にも引き続き力を入れるほか、関連ソフトウエアのサブスクリプションサービス「APEXFiz」の導入拡大に力を入れる。

経常・純利益が黒字回復

 島精機製作所の25年4~9月期連結決算は、売上高180億円(前年同期比22・5%増)、営業損失7900万円(前年同期は19億3800万円の損失)、経常利益7億8千万円(同20億3500万円の損失)、純利益6億7200万円(同21億2400万円の損失)となり、経常利益と純利益は黒字を回復した(短信既報)。

 横編み機事業は売上高134億円(35・2%増)、営業利益17億5100万円(245・4%増)だった。アジア市場ではバングラデシュ向けの受注が反政府デモ鎮静化で回復基調となり、中国市場も香港系大手顧客による設備更新が堅調に推移した。欧州市場はイタリアを中心に高級ブランドの生産が回復傾向となり、WG横編み機、成型機ともに販売増に。

 通期連結業績は売上高445億円(前期比36・8%増)、営業利益15億円(前期は119億円の損失)、経常利益23億円(同114億円の損失)、純利益20億円(同142億円の損失)を見込む。