第4回ザ・メーカーズ・アパレルショー レビュー/進化続ける中国OEM・ODM企業 Vol.7

2025年11月05日 (水曜日)

QRや環境配慮など訴求

 今回展では初出展や数年ぶりに出展する企業が多かった。短期・少量生産や納期厳守、環境配慮など日本企業が求めるニーズを的確に捉えた提案を行い、積極的な営業展開を図った。

 青島王基世海実業はジーンズやデニムジャケット、Tシャツ、中わたアウターなど幅広くカジュアル衣料品を手掛ける。江蘇省とバングラデシュに自社工場を持ち、生産数量の割合は3対7。短期・少量のQR生産に対応できるのが強みだ。

 全体の生産数量の7割を日本が占め、残りの3割が欧米だ。日本向けはデニム製品が好調で、年間を通じてリピートオーダーが入っていると言う

 今回が初出展となる。米トランプ政権の関税政策を受け、米国との取引が激減。担当者は「日本企業とのさらなる取引活性化と、新たにロシア市場を開拓して穴埋めしたい」と話す。

 南通楽可楽可貿易はスーツやワンピース、コート、シャツなどを取り扱う。日本向けが100%で、中価格帯の製品が中心だ。江蘇省に自社工場を持つ。

 同展示会への出展は数年ぶりと言う。出展理由について、担当者は「アクセスの良い会場なので、多くの来場企業と商談ができると思った」と説明する。

 日本企業との取引は18年に及ぶ。厳格な品質管理、納期厳守で日本のアパレル企業から信頼を獲得した。

 「品質の高い衣料品の生産は今も中国に集中しており、東南アジアの技術水準は中国に及んでいない」と担当者。「以前、顧客だった日本企業が安いベトナムの工場に生産拠点を移したことがあったが、すぐに当社に戻ってきた。ベトナムで高品質な服を作るのは難しい」と語る。

 紹興柯橋少止歩紡織品は、ニット生地の開発と販売を主力とする。浙江省に自社工場を置く。スポーツやカジュアル用途の機能性ニット生地の開発に強みを持つ。工場の生産割合は日本向けが7割、欧米向けが2割、中国向けが1割となっている。

 今回展では環境に配慮したニット生地を多く提案した。担当者は「CO2(二酸化炭素)を吸収させた原料を一部に使ったニット生地をアピールしたところ、来場企業の反応が良かった」と手応えを示す。

 ほかにも、環境負荷の高いフッ素系化合物を使わないPFC(パーフルオロカーボン)フリーの撥水(はっすい)加工を施した生地や再生ポリエステル、オーガニックコットンを使った生地などをPRした。

(おわり)