Close up ベトナム市場~「VIATT2026」に向けて(前)/ヤギベトナム 市野裕之社長
2025年11月05日 (水曜日)
ベトナム内販拡大へ布石
2026年2月26~28日にホーチミン市で、「ベトナム国際アパレル・ファブリックス&繊維関連技術専門見本市(VIATT2026)」が開かれる。繊維商社ヤギのベトナム法人、ヤギベトナムは国内販売の拡大のため、同展に出展する。市野裕之社長に、今年の商況や同展への期待、今後の展望を聞いた。
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――ヤギベトナムの概要は。
ヤギグループは昨年、グローバル販売強化を打ち出しました。これにより、海外拠点は調達から販売へ役割をシフトしています。ベトナム法人も国内販売の拡大にかじを切りました。
現在の業務は、日本向け製品の生産管理と同OEM受注、日本向け縫製工場や地場ブランドへの素材販売、原料販売など多岐にわたります。主要顧客は日本向け工場ですが、いずれもまだ柱と呼べる事業規模には至っていません。
――今年の商況は。
日本向け製品のOEM受注は、やや鈍化しています。米中対立の影響で縫製の一部が中国に回帰しているためです。一方、2024年から日本本社の原料担当者が当社に駐在し、種まきしてきた糸の販売が芽を出し始めました。インド製や国産を中心に今後の拡大を見込んでいます。
――地場ブランド向け販売は。
これまでは生地単体での販売でしたが、今年から生地・製品一貫提案の体制を整えました。自社で縫製を持つローカルブランドが多く、簡単ではないですが、徐々に販路を広げていきたいです。
ベトナムではファッションへの関心が高まり、高級ブランドのブティックも増えています。ただし、まだ小規模ブランドが中心で、小ロット・多品種の生産が主流です。当社の顧客はレディース、メンズともありますが、市場における大手アパレルはメンズが多いと感じています。
――取り扱う素材は。
糸、編み地、織物の全てを扱っています。生地の産地は日本、中国、台湾などさまざまで、値頃感のある中国品が多いです。ベトナムでも短納期要望が強いため、備蓄品を中心に販売しています。
生地は機能性よりも、見た目や風合いなど感性面が重視される傾向が強いです。
――「VIATT2026」への出展を決めました。
インターナショナルな展示会として、地場企業だけでなく、第三国の大手ブランドなどとの商談機会を探る場にしたいです。今年(25年)の初出展は成果が限定的でしたが、来年は日本本社と共同でブースを大幅に拡大し、より積極的に臨みます。
――今後の展望を。
ベトナムは経済成長が著しく、ファッション文化が浸透し始めています。富裕層の拡大に伴い、日本製素材への関心が高い高級ブランドも育ちつつあります。今のうちにネットワークを広げ、将来の市場拡大に備えたいです。





