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シキボウ/紙おむつ再資源化で実証開始/「デオマジック」で課題解決へ

2025年11月05日 (水曜日)

 シキボウは、特殊鋼材販売のサハシ特殊鋼(名古屋市港区)と連携し、使用済み紙おむつを再資源化するマテリアルリサイクル事業に取り組んでいる。両社は愛知県主導の「あいち環境イノベーションプロジェクト」に採択されており、7日から刈谷記念病院(愛知県刈谷市)で、使用済み紙おむつを粉砕しながら乾燥する技術と、シキボウの臭気対策剤「デオマジック」の消臭効果を検証する実証実験を開始する。

 この取り組みでは、サハシ特殊鋼が開発した摩擦乾燥機を活用。使用済みおむつを分別・洗浄せずに投入し、130℃以上の摩擦熱で粉砕と乾燥を同時に行う。得られた残渣(ざんさ)はバイオマス原料として再利用され、ごみ箱やごみ袋などのプラスチック製品に再生することを想定する。

 一方、処理工程で課題となる臭気対策として、シキボウはデオマジックを応用。これまでの噴霧型では高温環境下で効果が低下する場合があったため、今回は綿製品を粉砕したセルロースマイクロファイバーとデオマジックを組み合わせたパウダータイプを開発した。

 同製品は、香料成分と悪臭成分をペアリングさせて良い香りに変換するメカニズムを持つ。環境配慮型の原材料を用いながら、廃棄物処理現場でも安定した消臭効果を発揮することが期待されている。

 シキボウはこれまでも国内外の工場や産廃処理場でデオマジックの実績を積んできたが、今回のパウダー化によって用途拡大を狙う。実証は来年1月下旬まで実施され、機械の安定稼働性や臭気対策効果を検証する。