特集 第59回東京ファッション産業機器展―59th FISMA TOKYO(3)/多方面から生産支援
2025年11月05日 (水曜日)
〈最新性能のCAD提案/AI活用の有効性訴求/東レACS〉
東レACSは、CADシステム「クレアコンポⅡ」とアパレル向けデータ管理システム「サイフォーム」を通じ、アパレル産業の業務効率化を支援する。両システムのバージョンアップがなされるタイミングでFISMA TOKYOに出展し、最新版の機能をアピールする。
クレアコンポⅡのVer・9は、複数のDXFファイル(図面データを保存するファイル形式)を一括変換できるようにした。「2点からの距離指定点」機能を追加し、文字スタンプ/計測機能をブラッシュアップした。
3D機能は、シミュレーション結果の再現性の向上を図った。生地と生地が重なる部分の再現性が改善され、陰影を追加してリアルな表現に近付けることが可能になった。
サイフォームは、他社システムと生地情報や付属情報などのデータ連携ができる。二重入力や作業漏れ、翻訳など業務で生じるさまざまな課題を解決し、設計・生産工程全体での作業効率を高める。
最新のVer・11は、人工知能(AI)の活用を広げている。AI―OCR(光学文字認識)によって手書き、PDFなどの帳票を取り込めるようにした。AI翻訳の対象言語にベトナム語を追加した。
3DCADについて、運用コストが抑えられ、導入の障壁が低い同社のシステムがアパレル業界で再評価されていると言う。今後も運用事例を増やし、それを水平展開することで、ユーザーの拡大につなげる方針だ。パタンナー以外の生産管理者やデザイナーから相談を受ける機会が増え、自社のシステムの潜在的なニーズを感じ取っている。
〈資材と機器の総合商社/満を持して国内初出展/トモテックス〉
トモテックス(大阪府寝屋川市)は、“トータルアパレルソリューションプロバイダー”をめざす総合商社。
祖業は主にレディースの下着製造に関連する機器を販売していた。現在、取り扱い機種は多岐にわたり、開発技術者も在籍する。特注機器の製造や既存機種の改良も請け負う。機器の専門知識を生かして、縫製副資材の販売も得意とする。同展で国内デビューを飾る。海外市場で得たノウハウを生かし、国内を開拓する。
今回出品するのは①小型ダイレクトドライブサーボモーター②空環・テープの自動カット装置、空環・切りくず自動集じん装置(自動押さえ上げ付き)③ケバ切り(トリマー)卓上タイプの小型バリカン式ケバ切り④主要ミシンメーカーと互換性のある各種装置――に絞り込んだ。これらをオーバーロックミシンに取り付けて実演する。
縫製副資材はコーナーを設置して紹介する。国内・国外製の各種経編み・丸編みの生地サンプル(ハンガーサンプル)、インナー用付属品(エイトカン・丸カンなど)、無縫製用接着材料、「モビロン」テープ、天然ゴム、各種ナイロン糸をラインアップする。
〈高品質実現の中国製機種/多彩なオプション装置も/SWJ〉
初出展の刺しゅう機販売、ステッチ・ワークス・ジャパン(SWJ、愛知県春日井市)は代理店契約を結ぶ中国の刺しゅう機メーカー大手、SINSIM製の機種を展示する。高い刺しゅう品質を実現し、多彩なオプションで顧客のニーズに応える。
SINSIMは刺しゅう機の専業メーカーで30年近い歴史を持つ。他の中国メーカーが高い技術力を誇る日本製のコピーを進める中で、同社は独自開発に力を入れるなど一線を画してきた。この10年ほどで成長を遂げ、中国トップメーカーの一員に加わった。
SWJは日本の刺しゅう機メーカーに長年勤めていた富永稔社長が7月に立ち上げた。以前からSINSIMのトップとは親交があり、縫製技術が高い日本市場へ参入したいという同社の考えもあって販売代理店契約を締結した。
今回展では、店舗から工場向けまで対応できる5シリーズの機種を提案する。コンパクトタイプの「PB」や刺しゅう範囲を広げた「PD」、多頭機型の「PEC」をそろえる。サガラ刺しゅうに対応した「MT」やスパンコールパンチプレスの「ASP」などもアピールする。
刺しゅう機に取り付けられるオプション装置も豊富だ。ビーズやスパンコールを刺しゅうできる装置やレーザーカット装置などがあり、PBを除いた全ての出展機種に取り付け可能だ。
SINSIM製品について、富永社長は「日本メーカー製と比べても縫い上がりの品質は遜色ない。見てもらえれば品質の高さは分かってもらえる」と話す。価格も日本品の2~3割ほど安い。SWJによるアフターサービスも充実しており、顧客が安心して購入できる体制を敷く。
〈ミライシリーズ初出品/海外市場で得た実力披露/Y TECHNOLOGY〉
Y TECHNOLOGY(京都市)は、縫製機器の省力化・自動化に関して、海外での実績が豊富なメーカー。2015年の創業以来、約60種類もの受注生産を手掛けた。アパレル製造の高品質・高効率な自動機を開発し、顧客の要望に応えている。
国内初出展の場として今回展を選んだ。グローバルブランドの製造工場で鍛えられた企画・開発力と柔軟性を生かし、国内需要にも挑戦する。開発スタッフには設備の補修や整備を担当した縫製工場の勤務経験者が在籍し、現場目線を生かした開発にも定評がある。
出品する機器は「MIRAI」(ミライ)シリーズから①フリーテンションで誤差1%以内にカットする全自動テープ定寸カット機「ProTEX X10」②輪状のゴムテープをパンツなどのウエスト部に縫い付ける自動天ゴム付け縫製機「ProTEX S10」③水着やブリーフなどの脚口にゴムをオーバーロックで縫い付ける自動ゴム付け縫製機「ProTEX S20」――の3機種をそろえた。
ミライシリーズは独自ブランドで標準機。これらを基に変更・最適化も可能だ。1台からの設計・製造にも応じる。





