帝人 “顧客近接型”に軸足
2025年11月06日 (木曜日)
帝人は、2026年度(27年3月期)から始まる次期中期経営計画の重点方針として“顧客近接型ビジネス”を掲げる。マテリアル、繊維・製品、ヘルスケアの各事業で顧客ニーズを起点とした新ビジネスの創出に取り組み、収益力の向上を目指す。内川哲茂社長は「顧客のニーズに応える形で、事業領域を広げる。そのために他社との協業施策も成立の見通しがたった」と、既に具体的な取り組みを開始していることを示唆した。
内川社長は「顧客近接型ビジネスは、既に繊維・製品事業で実践してきた帝人の強み。これをマテリアル事業のアラミド繊維やヘルスケア事業でも実行する」と強調した。アラミド繊維は従来の原糸販売中心から、顧客ニーズに応える形でコンバーティングや半製品まで取り扱いを拡大するなど川下展開を進める。そのためにM&Aによる取り扱い製品の拡大も視野に入れ、経営資源の効率化を重視しながら規模とシェアの拡大を目指す。
顧客近接型ビジネスに適合する事業の見極めを進め、経営資源を優先配分する。詳細は明らかにできないとしながら、他社との協業も図る。こうした取り組みによってマテリアル事業で新ビジネスの創出を進め、繊維・製品事業のさらなる拡大、ヘルスケア事業の在宅衣料製品へのシフトを進める。
一方、構造改革を進めているマテリアル事業のアラミド繊維は、25年度4~9月期に減損処理を実施したことで償却費が減少するため、25年度下半期から収益のV字回復を見込む。その上で「市場構造の変化に合わせて持続可能な収益モデルを確立する」として、26年度までに400人超の人員削減を含む生産体制見直しで約150億円のコスト削減を実施する。
抜本的コスト構造改革を進めた上で、航空機用途など高付加価値領域への集中や顧客ニーズを起点とした新ビジネス創出、海底ケーブル用途など新市場の需要を取り込み、高収益体質への回帰を目指す。





