Close up ベトナム市場~「VIATT2026」に向けて(後)/ジェトロ・ホー チミン事務所 岡部光俊所長

2025年11月06日 (木曜日)

出展も「現地化」が大事

 2026年2月26~28日にホーチミン市で、「ベトナム国際アパレル・ファブリックス&繊維関連技術専門見本市(VIATT2026)」が開かれる。日系企業の現地展開支援や展示会出展のサポートなどに取り組むジェトロ・ホーチミン事務所の岡部光俊所長に、ベトナム経済の現状や現地展示会に出展する際の注意点などを聞いた。

――ジェトロ(日本貿易振興機構)ホーチミン事務所の概要を。

 日本からの駐在員9人を含む22人体制です。ベトナムの経済・貿易・投資情報の収集・提供を中心とした日系企業の現地展開支援や、展示会出展のサポート、スタートアップ企業とのマッチングなどを行っています。

――日本企業の近年の進出傾向は。

 以前は製造業中心でしたが、ここ数年は飲食・小売り・不動産といったサービス業の投資が増加しています。

 一方、繊維業も依然として存在感があります。例えば「ユニクロ」は、全国に73の契約縫製工場を持っており、これは中国に次ぐ規模だそうです。多くはないですが、工場新設もあります。東レが出資する互太紡織(パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス)は昨年、北部のナムディン省で、MNインターファッションは今年、中南部ニントゥアン省で新工場を稼働させています。

――ベトナム経済の今年の状況は。

 25年の経済成長率の政府目標は8・3~8・5%です。第3四半期は前年同期比8・2%と堅調に推移し、ASEAN諸国の中でも高い伸びを維持しています。

 米国の相互関税の影響は懸念されますが、主要輸出品であるスマートフォンなどは対象外であり、新型コロナウイルス禍の時のように景気が大きく落ち込むことはなさそうです。

――今後注目すべき分野は。

 南部のメコンデルタでは、農業の生産性向上とCO2削減がテーマになっています。日本企業が関与できる余地が大きい分野で、われわれも支援を検討しています。また製造業全体では人件費上昇に伴い、自動化・省力化・機械化へのニーズが高まっています。繊維業でもこの分野は新たな商機になるのではないでしょうか。

――来年2月に開かれる展示会「VIATT2026」の出展支援の可能性は。

 今のところその計画はありません。機械関係の展示会では既に支援実績があるので、繊維分野でも日系企業の販路開拓意欲と、現地企業の需要の両面を見極めた上で検討したいと思います。

――VIATTに出展する日系企業へのアドバイスを。

 ベトナムに限ったことではありませんが、現地化対応が大事です。ベトナムではメール連絡よりも、「Zalo」(ザロ)というメッセージアプリが主流です。これを活用することで、現地企業とのレスポンスが早くなります。また英語対応は必須ですが、ベトナム語ができればさらに信頼関係を築きやすい。ホーチミンなどでは日本語を話せる人も多く、こうした現地人材の活用が商談力の向上につながると思います。