南緯実業/独自の環境型染色前面に/日本・欧州を新規開拓へ
2025年11月06日 (木曜日)
【台北=岩下祐一】アジアやアフリカの自社工場で染糸から一貫で編み物製衣類を生産する台湾の南緯実業(テックスレイ)が、環境配慮型染色技術と垂直統合型のグローバル生産体制を強みに、日本と欧州市場の新規開拓に取り組んでいる。その一環で6、7日の2日間、大阪市で開かれる素材・製品展「パンテキスタイル大阪2025」に初出展する。
同社は1976年創業。現在、世界8カ国に17工場を展開し、従業員約3千人を雇用する。
垂直統合型の主力生産拠点は中国・塩城とアフリカ南部のエスワティニの2カ所。アイテム別の月産能力は、編み物が台湾48万キロ、塩城40万キロ、エスワティニ40万キロ。製品はベトナム100万着、エスワティニ100万着、塩城50万着、アフリカ南部のレソト50万着、メキシコ36万着、カンボジア24万着だ。
製品別売上構成比は、製品7割、生地3割。市場別では米国市場が約70%を占める最大市場だが、先行きが不透明になっている。同社のエスワティニ工場は、「AGOA」(アフリカ成長機会法)による対米関税免除を活用し、米国市場向けに高いコスト競争力を発揮してきたが、トランプ政権下、9月30日に同法は失効した。
こうした中、近年は日本や欧州市場の新規開拓に注力している。日本市場向けは、伊藤忠商事やアシックスなどとの協業関係を強化中だ。
新規開拓の武器の一つが、独自の環境配慮型染色技術。「エコロレーション」は、従来の浸染法を置き換える新プロセスで、水使用量、エネルギー、時間をそれぞれ約80%削減すると言う。ドイツ企業と共同開発した専用設備と自社開発の助剤を組み合わせ、染色堅ろう度を保ちながら環境負荷を大幅に低減する。台湾とエスワティニの工場で量産体制を整え、米国ブランドへの展開が始まっている。





