大和紡績 “国内完結”で信頼に応える
2025年11月07日 (金曜日)
大和紡績は、IPO(新規株式上場)に向けて事業基盤の強化を急ぐ。野間靖雅社長は「国内生産の優位性を前面に押し出し、安定供給のニーズに応える」と話す。品質への信頼を武器に欧米グローバルメーカーの開拓を進め、収益力の向上を目指す。
新型コロナウイルス禍や米中対立を経て、企業のサプライチェーン見直しが加速する中、同社は国内拠点の多さを最大の強みとする。野間社長は「BCP(事業継続計画)の観点から、国内完結型メーカーへの期待は高い」と指摘する。
6月に社長就任後、取引先を訪ねる中で、「有事にも揺るがない供給体制が取引の決め手になっている」と実感した。今後は省人化や自動化を見据えた工場投資を進め、持続可能な生産体制を構築する。
自社を原料メーカーと位置付けつつも、その枠を超えて最終製品や市場のニーズに応えるため、取引先と「アライアンスを組んで、マーケットでしっかりと売れるものを作る」。
海外では「チャイナリスクを回避したい」欧米企業の需要を追い風に、引き合いが増加。日本の品質管理や安定供給力が高く評価されていると言う。今期(2026年3月期)は海外売上比率20・8%を目標に掲げ、インドネシア拠点も活用してグローバル展開を加速する。
さらに合繊、産業資材、製品テキスタイルの3事業を「3本の矢」と位置付け、それぞれの強みを磨く。合繊ではインバウンド需要で好調なフェースマスクなどを拡販し、産業資材ではフィルターの高機能化で収益拡大を狙う。アパレル市況が厳しい製品・テキスタイルでは、自社開発の機能素材による高付加価値化を図る。





