ソアロン 東レとの協業を開始
2025年11月07日 (金曜日)
GSIクレオスグループでトリアセテート繊維製造のソアロン(大阪市中央区)は、東レとの協業を始める。ポリエステルを中心に東レの特殊素材を使った生地作りを進めるとともに、東レもトリアセテート繊維「ソアロン」の糸を使って開発していく。既に両社で生地作りに着手しており、早ければ2026年中の販売開始を目指す。
東レのさまざまな部署と協業する。まずはお互いの素材特性を知るところから始め、東レから糸の説明を受けるとともに、東レのスポーツや資材などの部署にソアロンを紹介している。年内に東レの石川工場(石川県能美市)、ソアロンの富山工場(富山市)を視察し合い、意見交換しながら取り組みを進める考え。ソアロンの坂本宜士社長は協業の狙いを「東レは国内の合繊でナンバーワンの企業。ソアロンはオンリーワン。ナンバーワンとオンリーワンで開発していく」と話す。
足元の販売は苦戦しているが、サテンなど従来なかった生地や横編み用など新しい商品の引き合いが増えている。改めて開発を強化する方針で、東レの特殊糸を使って特徴ある生地作りを進める。
トリアセテート繊維は生地作りが難しいこともあり、ソアロン100%の生地は少なく、全体の70~80%が合繊との複合になっている。東レとの協業に加え、GSIクレオスが扱うナイロンを使った生地開発も強化している。
ソアロンの主力用途はレディースファッション。58年の歴史を持つ素材だが開拓し切れていない用途もあり、スポーツや資材、メンズなどを開発の課題カテゴリーに位置付けている。東レがソアロンを使った生地開発を行うことで、これらの用途での拡大にも期待する。
東レとGSIクレオスは、従来から強い関係があったことが協業のきっかけ。日本でポリエステル繊維事業の構造改革が進んだことも背景とみられる。
旧三菱レイヨンのポリエステル繊維事業は豊橋事業所(愛知県豊橋市)での原糸生産撤退後、09年からユニチカグループに生産を委託していた。この歴史もあって、ソアロンの生地で使うポリエステルは主にユニチカグループから調達していた。ユニチカの繊維事業撤退があり、現時点ではセーレンが譲受した後の供給体制が見えにくいことも、東レとの協業に至った背景にありそうだ。





