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汎用わた生産は撤退へ/東洋紡のアクリル繊維

2025年11月11日 (火曜日)

 東洋紡は、子会社の日本エクスラン工業(岡山市)で製造販売しているアクリル短繊維に関して、衣料用を中心とした汎用(はんよう)わたの生産から撤退する考えを明らかにした。今後は産業資材用途やアクリレート繊維を含めた機能わたを中心とした事業へと再編を進める。

 アクリル繊維は、セーターやインナーなど衣料用途を中心に他素材との競争激化で需要が低迷している。かつて大きなウエートを占めた中国輸出もアンチダンピング課税の継続で難しい状態にある。

 このため東洋紡は現在、衣料用途を中心に汎用わた生産の縮小を推進。具体的な時期は明らかにしなかったが、最終的には一部商品はグループ外への委託生産に切り替え、自社での汎用わた生産は撤退する方向だ。

 東洋紡の竹内郁夫社長は「吸湿や発熱といった機能性のある商品の比率を高め、新しい事業体に生まれ変わらせる」と話す。これに合わせて機能わたの生産拡充に向けた新プラントの建設など設備投資も検討する。