東洋紡 “稼ぐ力”が回復
2025年11月12日 (水曜日)
東洋紡の竹内郁夫社長は、2025年4~9月期連結決算が大幅増益となったことを受け、「これまで取り組んできたアクションプランの成果が出ており、“稼ぐ力”が確実に回復している」と話す。現中期経営計画の最終年度となる25年度(26年3月期)は要改善事業対策を着実に実行し、26年度から始まる次期中期経営計画でROE(自己資本利益率)8%超を目指す。
25年度は売上高4500億円、営業利益350億円、純利益150億円、ROE7%超を中計の当初目標として掲げていたが、このほど発表した業績見通しは売上高4250億円、営業利益230億円、純利益65億円にとどまる。
中計目標から大きく乖離(かいり)したことに関し竹内社長は「大型先行投資もあって財務体質がやや悪化した。また、包装用フィルムの収益悪化や複数の投資案件で立ち上げに遅れが生じ、固定費が増加するなど事業ポートフォリオの組み替えが遅れた」と要因を振り返る。
一方で、現中計は30年を最終年度とする中期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」の前半として「つくりかえる・仕込む4年間」と位置付け、要改善事業対策などアクションプランを実施したことで一定の成果が出ている。収益改善を進めてきた衣料繊維、医薬品製造受託、エアバッグ用基布、包装用フィルム、不織布マテリアルの各事業は25年4~9月期段階でエアバッグ用基布を除く5事業が生産体制の見直しなど構造改革を進めたことで黒字化。通期で24年度対比約70億円の営業増益となる見通しだ。エアバッグ用基布も26年度からの黒字化に向けて改善が進む。
26年度から始まる次期中計では「サステナブル・ビジョン2030」後半の「未来への仕込み」を施策に加え、事業ポートフォリオ改革の実行と投資効果発現により財務体質改善とROE8%超を目指すことを基本方針とする。
そのために、引き続き要改善事業対策と成長投資の確実な収益化、生産性改善・コストダウンによって早期に営業利益300億円、ROE5%への回復を進める。また、新商品開発や新用途開拓など“新の創出”で利益を上積みし、ROE8%超を実現する。





