シキボウ UTC事業譲受に弾みの黒字
2025年11月13日 (木曜日)
シキボウの繊維部門の上半期(2025年4~9月)は、中間期として8期ぶりの営業黒字へ転換し、ユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業の譲受に弾みを付けた。鈴木睦人社長は、「海外も含む営業基盤を譲受し、当社の製造基盤と一体となってシナジー効果を発揮し、グローバルでの販売拡大を図る」との方針を示した。
繊維部門の上半期は売上高97億5400万円(前年同期比2・5%増)、営業利益2億4600万円(前年同期は5千万円の営業損失)。好調な中東民族衣装向け生地輸出や不採算事業の見直しが利益を押し上げた。通期の連結業績予想はUTCからの事業譲受の影響を精査中のため未定で、今期(26年3月期)から始まった3カ年の中期経営計画の見直しも進める。
新体制の稼働は26年1月を予定している。1~3月は人材交流しながら業務の精査を行い、「4月からの本格稼働に向けて準備を進める」(尾﨑友寿上席執行役員繊維部門長)。同社は編み地縫製を、UTCは織物縫製を得意とし、両社の強みを組み合わせて製品事業の拡大を図る。特にユニフォーム分野は重複する顧客が多いため、商流を整理し、受注機会の最大化につなげる。
上半期の中東向けは、先物を含む受注が好調で、シキボウ江南(愛知県江南市)では増産体制で対応している。高採算の新商品投入も重なり、繊維部門の業績を押し上げた。下半期に向けて、新規受注がやや落ち着き、「踊り場になりつつある」(尾﨑氏)との見方だが、「高級ゾーン」としての需要を確保している。アバヤなどトーブ以外のアイテムも投入し、新規開拓を加速させる。
連結も増収増益
シキボウの25年4~9月期連結決算は、売上高197億円(前年同期比4・6%増)、営業利益6億2800万円(14・6%増)、経常利益5億1200万円(17・5%増)、純利益3億4500万円(11・9%増)だった。機能材料部門は食品・化成事業のコスト高で減益となったものの、繊維部門の利益改善が全体をけん引し、増収増益となった(短信既報)。
繊維部門は中東向けの大幅増収に加え、原糸は別注比率の上昇で利益が改善した。ユニフォームは大型別注の獲得と価格改定が進み、微増益を確保し、ニット製品もグループの新内外綿の製品販売が好調で増収増益となった。





