特集 北陸ヤーンフェア2025(1)/出展者は過去最多/2館を使っての開催に
2025年11月13日 (木曜日)
糸の総合展示会「北陸ヤーンフェア2025」が19~20日、福井県産業会館(福井市)で開かれる。福井県繊維協会と石川県繊維協会の共催になって8回目の開催で、今回は「繊維の夢を紡ぐ~ときめきワクワクの創造~」をテーマにした。
北陸ヤーンフェアは、福井県繊維協会と石川県繊維協会の共催で、福井市と金沢市で開催地を入れ替えながら毎年秋に開催されている。金沢で開催された昨年は2日間で3507人、福井で開催された一昨年は3239人の来場者を集めた。
会場には糸を中心にその周辺分野も集まり、来場者はいろいろな提案を見ることができる形になっている。近年は尾州や三備、桐生、和歌山、今治など北陸以外の産地からの来場者も見られ、出展企業と産地企業がコミュニケーションを図る場にもなっている。
糸の展示はこれまでサステイナビリティーの切り口が主流になっていたが、リサイクルが定着してきた中で、今回展は新たな切り口も増えてくる。猛暑対策など機能性のほか、感性や風合いを訴求する商品などを含め、展示される商品の幅は広がる見通しだ。
今回展の出展企業数は79社・団体(前年比1社増)で、金沢開催だった昨年に続き過去最多を更新した。1回目は40社だったが、年を追うごとに拡大してきた。新型コロナウイルス禍の影響を受けた3回目を除くと毎年規模を拡大している。一昨年の福井開催を含めてこれまでは一つの会場で開催していたが、出展者の増加により今回は2館を使っての開催となる。動線を考慮し、一昨年とは会場の入り口も変わる。
出展者は合繊メーカーや紡績、商社、糸メーカー、染工場、副資材、繊維機械、大学、試験センター、繊維加工剤メーカーなど幅広い業種がそろう。昨年から海外企業の出展も始まっているが、今年は台湾企業が昨年の4社から6社に増え、中国からも1社が参加する。
海外企業の出展は、主催者の福井県繊維協会と石川県繊維協会が、台湾の繊維業界団体である中華民国紡織業拓展会(紡拓会)との交流を進めていることから始まったもの。北陸ヤーンフェアに先立って台湾で開催された「台北紡織展(TITAS)」にも福井県と石川県の企業が参加しており、昨年に引き続きシモムラ、福井経編興業、前多が出展した。
日本からの出展では引き続き繊維機械関連の出展が増えており、AIKIリオテック、インテックス通商、スズキワーパー、ユニオン工業が初出展する。また、染色の木曽川染絨、副資材のモリトアパレル、紙の糸を展開する日本製紙、商社の豊通ファッションエキスプレスなども初出展となり、幅広い業種での出展が増えてきた。繊維機械では、10月下旬にシンガポールでITMAアジアが開かれた。ここで発表された新技術を、北陸ヤーンフェアで日本の顧客に初披露する企業も見られる。
今回の展示会テーマは「繊維の夢を紡ぐ~ときめきワクワクの創造~」とした。初回展から一貫してサステをテーマに掲げてきたが、今回展ではサステをベースに、新たな価値を加えた提案が増えるとみられる。
今回の特別講演は、玉木新雌(兵庫県西脇市)の玉木新雌代表が、「きもちいいはうつくしい ~tamaki niimeのいきかた~」をテーマに登壇する。
足元の北陸産地の景況は一部の用途を除くと先行きの不透明感が強まっている。その中で新しい開発を重視する声が増えている。北陸ヤーンフェアはその動きを後押しする場としても期待される。





