特集 北陸ヤーンフェア2025(6)/出展者の見どころ/シモムラ/増井/前多/タロダ
2025年11月13日 (木曜日)
〈C0撥水糸などを出展/輸入糸事業を本格化/シモムラ〉
シモムラは今回展で、フッ素フリーの撥水(はっすい)糸やピン仮撚り糸、長短複合のカバーリング糸などを展示する。糸の強みを生かした織物や、新たに始める輸入糸事業なども紹介する。
糸での工場は、撚糸の押水工場(石川県宝達志水町)やピン仮撚りのフクイセイシ(福井県大野市)、糸染めの園田産業(石川県能美市)などがあり、グループ連携による開発も強化している。出品するフッ素フリーの撥水糸は園田産業で染めた商品で、フクイセイシで生産するピン仮撚り糸も幅広く紹介する。
新たに輸入糸事業の本格展開を始める計画で、今回展で紹介する。中国やベトナム、インドネシアなどから糸を輸入し、自社の糸加工とも組み合わせながら展開する。細番の高強力糸や超フルダル糸、ポリエステルやレーヨンの紡績糸など定番品以外も含めて品ぞろえし、在庫を持って販売していく予定。
ブースでは織物の提案も行う。織物では製織子会社のソフィーナ(新潟県長岡市)などがあり、10月には帝人フロンティアから帝人フロンティアDGを譲受して子会社化した。糸の強みを生かした織物展開を拡大していく考えで、今夏には東京営業所を開設し、販売体制も強化している。
中国など海外での拡販にも力を注いでおり、北陸ヤーンフェアの主催者が協業している台湾のTITASにも昨年に続いて出展した。
〈冷感新タイプを開発/先染20色強で備蓄販売/増井〉
増井(大阪市中央区)は今回展で、冷感素材の新タイプ「オーレア」などを提案する。オーレアは、レーヨン・ナイロン両長繊維の混繊糸で接触冷感、UVカット性が特徴の「アイスインパクト」をバージョンアップ。接触冷感ではなく、持続的な冷感を持っている。20色強を備蓄し販売する。
そのほか、無撚綿糸「エコゼロ」、十字断面糸で発熱性を持つ「ルーウォーム」などの新素材を訴求する。エコゼロは水溶性ビニロンを使用しない環境配慮型。タオル用に販売するが、北陸産地にも紹介し反応を見る。ルーウォームは十字断面糸でUVカット性、吸水速乾性、透け防止などを持つ「ルークール」の技術を応用し開発した。
ボリューム感のある再生ポリエステル先染糸「ジ・インフィニティ」も提案する。
今回展ではブース構成をシンプルにし、ブランドロゴのみを掲示する予定。同時に9月に取得した「GRS」や、取得済みの「FRC」など環境認証を持つ点も紹介する。
〈糸からの生地開発強化/独自ブランド糸を紹介/前多〉
産元商社の前多(金沢市)は独自の差別化糸「プレミアムシックス」と「ラルーチェ」を紹介する。糸からの生地開発を改めて強化していることが背景にあり、ブースではこれらの糸を使って開発した生地を、豊富なバリエーションをそろえて展示する。
プレミアムシックスは、膨らみがあって柔らかな風合いを持つポリエステル加工糸。黒の発色性もよく、中東民族衣装やブラックフォーマル、ファッション、インテリア、ユニフォームなどの用途に提案する。
ラルーチェはシルクのような光沢を持ち、シボが出しやすいなどの特徴を持つ。染着性に優れる糸特性も特徴で、中東民族衣装やファッション、インテリア、ユニフォームなどの用途に提案する。
北陸ヤーンフェアへの出展は2回目で、今回展では独自のブランド糸を紹介しながら、糸からこだわった織物開発を訴求する。ブースで紹介する二つのブランド糸も、糸での販売ではなく生地にしての展開が中心になる。
同社はファッションやユニフォーム、スポーツ、インテリアなど幅広い用途を展開している。足元では市況の影響を受ける用途はあるものの、他の用途でカバーし、全体では底堅く推移している。
〈PP捲縮糸をブック展開/原着で15色そろえる/タロダ〉
糸商のタロダ(石川県内灘町)はポリプロピレン(PP)ウーリー糸の色糸ブック展開を始める。今回展で紹介し、展示会後に本格展開を始める予定。
同社はかほく産地の細幅織物向けを主力とするが、近年は横編みや経編みなどニット向けやジャカード織物向けなどにも展開を広げている。リサイクルポリエステルをベースにサステイナブル糸の見本帳を幅広くそろえるが、近年は特徴を持った糸の展開を強化してきた。昨年展では、割繊糸の見本帳や天然繊維調のタスラン糸など機能性や感性を訴求する商品が好評を得ており、今回はPPの高捲縮(けんしゅく)糸を新たに紹介する。
PPに捲縮を持たせ、膨らみ感や軽量性を持たせた。まずは色数を限定しての展開となり、380デシテックスの原着糸で15色をそろえて見本帳展開する。
本社がある内灘町は、昨年元日の能登半島大地震の被害が大きかった地域で、同社も被災した。特に本社事務所の被害が大きかったため、来年春に本社機能を石川県かほく市にある工場の近隣に移す予定。現在の本社がある場所は移転後も残し、物流拠点として活用する。





