別冊ユニフォーム(15)/新たな局面へ/イワキ/HARADA/九州ワーク

2025年11月14日 (金曜日)

〈イワキ 社長 岩城 健司 氏/AIに積極投資〉

 ユニフォーム販売のイワキ(広島市)の2025年8月期は、2桁%の増収だった。DTF(ダイレクト・トゥ・フィルム)捺染機の導入で需要を捉えた。初任給を上げたことで優秀な人材の採用につながり、その社員が入社1年未満で新規顧客を獲得したことも奏功した。

 これまで、先代の堅実な経営方針から自己資本比率100%経営を続けてきた。今後は、人工知能(AI)へ積極的に投資して、より効率的な経営体制を目指す。

 10月1日から、ファクスの受注票を読み取り、販売管理システムへデータ移行するシステムを稼働させた。読み取りには、AIを活用して画像内の文字を認識・情報処理する光学文字認識(OCR)技術を採用した。読み取った情報は、マイクロソフト社のアプリケーション「オフィス」の機能を拡張するプログラミング言語のVBAを利用して販売管理システムに情報を連携する。

 午前中の電話対応は、AIによる自動対応に変更した。用件を事前確認できるため、受発注管理画面を事前に開いてから顧客に折り返すこともできるようになった。事務員が電話対応に追われることがなくなり、業務上の間違いも減った。今後さらに改良して利便性を高める。

 定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も進める。メーカーへの発注締め切り時間が来たら、自動で発注書をファクス送信するシステムを構築した。今後は、順次対応先を増やしていく。

 これらの効率化や生産性向上で得られた時間を、顧客サービスの充実に配分するほか、一人当たりの利益を高め賃金の引上げに充てる。

〈HARADA 社長 原田 栄造 氏/売上高100億円目指す〉

 ユニフォーム販売のHARADA(山口県防府市)の2025年7月期売上高は、前期比約12%増の38億8千万円だった。経常利益は約30%増の3・5億円で、9期連続の増収増益となった。オーダーユニフォームカンパニー(OUC)事業の拡大と、電動ファン(EF)付きウエアの販売好調が寄与した。今期(26年7月期)は、足場固めの期として前期並みを見込む。

 35年に売上高100億円を目指す。その途上となる30年に売上高50億円を達成するため、今期はリユースやサステイナブルに関連する事業の拡大、ショップの出店といったさまざまな施策を打つ。

 今期の重点施策と位置付けるのが、リユース事業の立ち上げだ。同社が販売するユニフォームは、1~2万円の高価格帯商品もあり、着用していた従業員が退職した後も再度ユニフォームを有効活用できるサービスを提供する。

 サステイナブル事業「E+」(イープラス)ではこのほど、返品のあったユニフォームをアップサイクルして、720ダースの軍手を製作した。営業や販促用ツールとして配布するほか、官公庁への寄付も検討している。アップサイクル後の出口が分かりやすい取り組みを目指す。

 ショップ事業で展開するユニフォーム販売店「ワークフィッター」では、県外を含めた出店の準備を進める。今期は1店舗の出店を計画する。

 別注を主体としたOUC事業では、これまでより短い期間で別注を形にできる「パターンオーダー」を立ち上げた。

 海外事業として台湾への進出を図るほか、M&A(企業の買収・合併)による事業拡大も検討する。

〈九州ワーク 社長 納所 佳民 氏/差別化商品の開発に力〉

 ユニフォーム販売の九州ワーク(長崎県佐世保市)の2025年2月期売上高は九州ワーク佐賀本社と連結で前期比微増の26億円だった。

 26年2月期上半期は、4月に分社化した九州ワーク長崎本社を含めた売上高が20・55%増で推移する。電動ファン(EF)付きウエアの販売伸長が奏功した。下半期は、昨年受注した長崎スタジアムシティの大型案件がないため減収を見込むが、通年需要のある手袋や安全靴といった消耗品に注力して、佐賀本社を除く、長崎本社と連結で売上高26億円を目指す。

 九州白衣として運営する白衣事業部は11月、ユニラボに統合する。インバウンドで好調な宿泊施設や飲食店の需要を捉えるほか、オフィスやメディカル、ほぼ内製化している捺染などの二次加工を生かしたユニフォームの販売に注力する。

 ユニフォーム販売店「クロスワーカー」は、熊本県や佐賀県で出店の要望を受けており、検討中だ。後継者がおらず事業継承問題で廃業する企業があればM&A(企業の買収、合併)も前向きに検討する意向で、エリア拡大を図る。

 4月に長崎本社を分社化した。施設の老朽化に伴い新しい建屋を建設した。長崎県は、南北で経済圏が異なるため、本社を置く県北の佐世保からではなく、現地に根付いて事業を進める狙いがある。

 東レとTSデザイン(広島県福山市)と共同で開発した涼しさと安全性を両立する生地「シャミランバイオライトフィックス」を採用したセットアップに続く、派生商品の開発を進めている。独自商品の開発で差別化を図り、電子商取引(EC)も伸ばす計画だ。