別冊ユニフォーム(21)/クラボウ/シキボウ/モリリン/ZERO―TEX
2025年11月14日 (金曜日)
〈クラボウ/機能素材の拡充で需要開拓〉
クラボウは、高通気、ストレッチ、難燃の機能を軸に、独自の差別化素材を拡充し、市場ニーズに応える。暑熱リスク・体調管理システム「スマートフィット」と連携し、ユニフォームと併せて提案することで現場の声を素材開発に生かし、提案の領域を広げている。
前期(2025年3月期)に販売量が倍増した高通気・ストレッチ「ジェットエアー」は、暑熱対策需要の高まりを受け、今期も好調な販売を維持する。難燃「ブレバノ」も堅調で、両素材とも増産体制で対応している。ブレバノはジェットエアーや高制電「エレアース」との複合開発が進み、用途の拡大につながりつつある。
ストレッチ素材も好調で、ポリエステル・綿混が主体の「バンジーテック」に加えて、綿100%の「バンジーコットン」も販売を伸ばす。動きやすさと肌触りの良さを両立し、着用快適性を求める需要を捉えた。素材のトレンドが合繊100%使いから裏綿など、やや天然繊維に戻りつつある中、「綿の価値を感じてもらえる提案」を通じて、採用拡大を図る。
スマートフィットは大手企業への導入実績が信頼につながり、採用企業数と使用者数が前年から倍増。より扱いやすい腕時計型の熱中症対策バンド「I―BOW」(アイボウ)の販売も始め、ウエアラブル分野を通じて新たな価値創出を目指す。
〈シキボウ/「アゼック」軸に夏物拡販〉
シキボウは高通気素材「アゼック」など夏物素材の拡販を強化している。夏の長期化で着用期間が延び、通年アイテムとしてのニーズも高まる中、差別化と環境対応を両輪に提案を拡充する。
上半期(4~9月)は、アゼックの企業納入が順調に推移し、ベーシックタイプを中心に販売量を伸ばした。ストレッチ性やSDGs(持続可能な開発目標)などの機能を加えた商品も提案し、展開を広げている。電動ファン(EF)付きウエア向け生地は高密度設計が必要で、短繊維では加工が難しいとされるが、同社は技術を確立し、綿・ポリエステル混を中心に販売を拡大している。
10月には大阪と東京で展示商談会を開き、アゼックと、V&AJapan(大阪市西区)の生分解性ポリエステル「クラフトエボ・リーテ」との共同企画を初披露した。回収循環型ユニフォーム素材として訴求し、アゼックの展開を強化する。特殊な糸使いと編み組織で汗染みを抑える「スエットコントロール」は、2024年から同社とパートナーシップ契約を結ぶラケットスポーツ「パデル」のプレイヤー、平レオンオリリアス選手をイメージキャラクターに起用し、機能性を訴求した。スポーツをはじめ、ワークウエアやスクールにも提案を広げる。
今後も機能と環境対応を融合させたモノ作りを進め、市場拡大を図る。
〈モリリン/日本品質の生地販売強化〉
モリリン・ファイバーマテリアルグループのユニフォーム事業はOEM受託と並行して生地販売を強化する。中国で製織から染色整理加工まで一貫生産し、日本の品質基準をもとに検反した生地がそろえる。日本品と同等の品質を持つ“メード・バイ・ニッポン”の素材を供給する。
この生地シリーズは「ベーシック:ラボ」と名付けた。春夏物から年間物まで13品種をそろえる。
綿100%をはじめ、人気の高いポリエステル・裏綿の生地、ポリエステル100%の生地も存在する。ワークウエア向けを主体とするが、さまざまな種別のユニフォームにも使いやすい品種で構成した。
生地の供給への要望が増えたことと、日本国内生産の納期が長期化することもあり、販売先から好評を得ている。日本の基準に合わせた確かな品質のモノ作りが支持され、浸透度が深まる。
既製品を企画・販売する企業だけでなく、企業向けオリジナルユニフォームを製造・販売する企業からも引き合いが増える。日本向けだけでなく、中国内販や東南アジアなど第三国への輸出にも対応できる。
ユニフォーム課の深見礼課長は「ユニフォーム以外に、アパレルやスポーツ向けにも販路を広げたい」と話す。
〈ZERO―TEX/快適性と持続可能性訴求〉
機能素材製造卸のZERO―TEX(ゼロテックス、東京都目黒区)は、全天候型の耐久撥水(はっすい)素材を主力に拡販を進めるほか、服から服へ繊維製品を再生する「ムダゼロプロジェクト」で再生された糸と合わせた付加価値の向上も図る。
ストレスゼロの快適性と環境負荷ゼロの持続可能性を目指す。糸や生地、製品、そして製品回収まで多岐にわたるアイテムとサービスを展開する。現在は、ポリエステルと綿の混紡糸で織り上げた織物を中心に染色済みの生地を日本と中国で備蓄もする。
素材開発のキーワードに位置付けるのが持続可能性だ。「エコテックスメードイングリーン」の認定を受ける東レマレーシア工場で生産することに加え、「ムダゼロプロジェクト」で再生した糸と合わせた付加価値の向上も図る。
17日から2日間ドバイワールドトレードセンターで開かれる、中東地域最大級のBtoBファッション展示会「ドバイインターナショナルアパレル&テキスタイルフェア」に出展して高付加価値品などをアピールする。
10月にはゼロテックスの素材を使った製品を販売するオンラインストアを開設した。製品ありきの素材ディレクションが可能な利点を訴求する狙いがある。





